楽天イーグルスが異例の積極補強で、低迷からの脱出を図ろうとしている。今年は6月から一度も貯金することなく、4年連続4位でフィニッシュした。5年ぶりに指揮を執った三木肇監督のクビが囁かれたが、ギリギリ延命。オフは即戦力にターゲットを絞り、DeNAから国内FA宣言の伊藤光と、日米通算165勝の前田健太を獲得した。さらに長身外野手の4番候補カーソン・マッカスカーと、先発エース候補のロアンシー・コントレラスという2人の助っ人を呼び寄せた。
例年にない本気の補強だが、
「親会社からのゴーサインが出て、カネを惜しむことなく使えるようになってきました。最近の楽天グループの業績回復のおかげだといいます」(球界関係者)
ここ数年、親会社の楽天は携帯電話通信事業の収益化が遅れて、グループ全体の財務状況が悪化していた。一時は会社が大きく傾くのではないか、との風評が流れたほどだったが、ようやくモバイルの契約回線数が950万を突破。連結決算で赤字幅が縮小した。さらに投資家向けの社債発行で資金調達力が上がり、球団経営に余裕が出てきたのだ。
「楽天の猛烈営業はすさまじく、球団の選手や裏方、球場のテナントスタッフやその家族まで『楽天モバイル』を使うよう推奨されています。2022年のドラフト会議で1位指名された荘司康誠はその日のうちに石井一久ゼネラルマネージャーから指名挨拶を受け、その場で楽天モバイルの申込書を手渡されて大困惑していました」(球団関係者)
目標達成のためには手段を選ばないことで知られる楽天グループ。イーグルス強化の命運を握るのは、楽天モバイルの業績なのである。
(田中実)

