
スピッツの名曲から誕生した映画「楓」が12月19日(金)に公開される。事故で恋人の須永恵(福士蒼汰)を失った木下亜子(福原遥)はショックで混乱し、恵の双子の兄・涼(福士蒼汰)を恵だと思い込んでしまうことから始まる物語。涼は亜子に笑顔を取り戻してほしくて、弟のフリをして生きる。今作で亜子が通うダイニングバーの店長・雄介を演じるのが宮近海斗。亜子の良き相談相手でもある役どころをどんな想いで演じたのか語ってくれた。
■パーマヘアは「なかなか見慣れませんでした」
――映画の原案となったのは、スピッツの名曲「楓」。心揺さぶるメロディーが印象的な曲ですが、宮近さんはオファーを受けた際、「楓」から生まれた物語と聞いて出演を即決したそうですね。
そうなんです。スピッツさんの楽曲はさまざまな世代の方が1度は耳にしたことがある名曲ばかりだと思います。僕自身もよく聴いていた楽曲がストーリーになって映像化される作品に携われたことがすごく光栄ですね。
――台本を読んだ際、どのような感想を持ちましたか?
人と人との優しい部分が描かれた愛が真ん中にあるラブストーリーだと思いました。人生を経験すると、人に対しての優しさって、どのように振る舞ったらいいか変わってきますよね。ときには優しくするのが難しくて、人に優しく振る舞える人が羨ましいこともあるかもしれないですし。優しさについても考えさせられる作品だと思いました。
――宮近さんが演じたのは、恋人を事故で亡くしたヒロインの亜子が行きつけのダイニングバーの店長・辻󠄀雄介ですが、どのようにキャラクターを作り上げていきましたか。
雄介は少しとぼけているというか、その人の意図しない部分を汲み取ってしまうキャラクターです。ビジュアルでもその雰囲気が出したいと思って、髪をクルクルのパーマヘアにしたのですが、今までの役でやったことないスタイルで新鮮でした!
監督からは「髪型、似合うね。アメリカの少年みたい」って褒めてもらったんです。自分ではトイレで鏡を見た瞬間、「今、この髪型だったか!!」ってビックリするくらいなかなか見慣れませんでしたけど(笑)。
――雄介はどんな人物だと思いましたか。
雄介のダイニングバーはお料理もいただけて、お酒も楽しめるお店なんですよね。亜子さんは、来店して雄介に相談することもあるのですが、さまざまなお客さんが自分の背負っている重い荷を降ろしていくようなリラックスできる場所だと思いました。
雄介の人柄については、きっといい意味で適当な気がしていて。さまざまな人が自分の抱えているものを落とすためにお酒を飲みながらいろいろと話をするんだけど、ある意味おおざっぱに適当に聞いている部分もあるんじゃないかなって(笑)。
――聞き上手ということが伝わってくる、受け身のお芝居が光っていました!
本当ですか? 繊細で優しい亜子さんが目の前にいるときは、優しい雰囲気で話を聞いていて。うるさいくらいお酒で楽しくなっているお客さんがいたら、雄介は多分一緒に楽しむタイプなんじゃないかな。目の前に対峙する人によって雰囲気が変わるキャラに映っていたらいいですね。
■料理工程は「振り付けみたいに叩き込みました(笑)」
――ちなみに宮近さん自身は、日常の疲れを癒しに行くような場所はありますか?
通っているお店とかはないですね。海外へ行った時にメンバーと一緒にホテルの下にあるダイニングバーのような場所には行ったことがあります。日常とは違う空間だなと感じて。すごくリラックスできるわけではないけど、独特な雰囲気の場所だったので、今回の作品を演じるにあたって参考になりました。
――料理ができる感と店長感を出すのが不安だったそうですが、実際、お料理するシーンを撮影してみて、いかがでしたか。
ダイニングバーはセットではなく実在するお店をお借りしての撮影だったので、厨房には油汚れとか本物の匂いがあって雰囲気たっぷりでした。お料理は、フードコーディネーターさんがポモドーロ(イタリア料理のパスタ)を作って下さったんですけど、「こういう風に作って下さい」って料理工程を教わりました。それを振り付けみたいに叩き込みましたね(笑)。
戸惑わないように覚えてから演じましたが、雄介は料理シェフではないので、あまり“できます感”を出してもおかしいかなと思ったんですよね。とはいえお客様に出す料理を作れる人なので、SNSで料理の作業工程の動画をチェックしてみたりしましたけど、お腹が空いただけだったっていう…(笑)。
――普段、お料理はあまりしないタイプなんですか?
料理はしますが、人に見られる中で作ることがないのでちょっと緊張しました。普段は「自分のお腹が満たされたらいいや」みたいなご飯しか作らないので。シェフの所作まで完璧ではなくても、ちょっとカジュアルな感じに手際よくできたので、そこまでプレッシャーもなくできたかなと思っています。
――亜子の相談相手になる役でもありますが、宮近さん自身は、誰かの相談に乗ることはありますか?
あったかなぁ。相談までは行かなくても1番近い存在でもあるとメンバーとは、いろいろな話をする瞬間がありますね。
――逆に宮近さんがメンバーに相談する側になることはありますか?
僕、人に相談ってしないんですよね。相談したいなって思う瞬間があまりなくて。例えば何か選択の場面があって、相談して誰かにたくさん考えてもらって言葉をいただいても、自分が考えた結果と違うことかもしれない。だったら、自分で解決したほうがいいかなと。
メンバーとグループのことで話し合いをする場面では、自分の意見を持ちつつ、みんなで話して、それぞれがどう思っているか聞いたうえで意見をすり合わせます。メンバーの意見がいい意見ならそれに合わせたいと、自分の意見が変わっていくこともありますけど、自分の思いをしっかり持っていたいと思っています。
■別れの悲しみは「お酒で紛らわしそうな気がしています」
――大切な人を失った現実と向き合う主人公の姿が描かれますが、宮近さんが思う別れの悲しみの乗り越え方は?
この映画では、失ったものはもう2度と戻ってこないかけがえのない人なんですよね。例えば、付き合っていた男女の別れなど、戻ってくる可能性のある別れもあるわけで。戻ってこないパターンの別れの悲しみは、絶対に残ってしまうものだと思います。
自分の場合、大切な何かを失った時、どう心の隙間を埋めるのか分からないけど、落ち込んだ気持ちはお酒で紛らわしそうな気がしています。でも、思い出を振り返った時に、悲しみが幸せで相殺されていったらいいですよね。思い出に浸ったら、より悲しい人もいるのかな。悲しいけれど、思い出に向き合った時に幸せだった時間があったことを思い出せたらいいなと思います。
――幸せだった記憶を大切にするのは素敵ですね。恋人の恵の影響で彗星を見つける夢を追う亜子の姿も描かれますが、今の宮近さんの夢とは?
何もしていない時間があってもプレッシャーを感じないでいられることですかね。自分の活動に自信満々で楽しめたり、手応えを持てたりできるようになりたいです。自分が1日何もしてない時間があっても、焦らないでオフが過ごせることが夢。グループとしては、楽曲やライブなど、もっとコンスタントにエンターテイメントを発信し続けて、皆さんに楽しんでもらえるものを届けたいです。
◆取材・文=福田恵子

