なりふり構わぬ補強の連発は、巨人のオフの風物詩。今年は松本剛を日本ハムから獲得し、新外国人投手のウィットリーと契約合意。さらにはもう1人か2人の外国人投手に加え、則本昂大と有原航平の強奪も狙っているとされる。
阿部慎之助監督は来季、3年契約の最終年。V奪還は絶対条件となるが、その焦りが出たのか、先日のラジオ番組「ニッポン放送ショウアップナイター60周年 名球会ラジオ」で、ついホンネが…。
チームを強くするためには育成が不可欠。勝ちながら育てることの難しさはこれまで、数多の監督が痛感していることだろう。とはいえ、こうハッキリ言ってしまっていいものか。
「育てるといっても勝たないと、ジャイアンツの場合はいけない。なのでそこを、ファンの皆さんも理解していただかないといけない。やっぱり負けるよりは勝った方が嬉しいですから。勝つためにやるので、育てるっていったら多分、最下位になる。そういう場所ではないのを理解してもらって、勝つためにこちら側は考えている」
事実上の「育成断念」を宣言したのである。その上での、実績ある選手のかき集めなのだろう。
スポーツ紙デスクがこれに頷く。
「ヤングジャイアンツの選手たちは失望しています。阿部監督にはもはや、育成を考える長期的な視点はありません。優勝しなければ辞任に追い込まれますから。岡本和真が抜けた後の4番問題で頭が痛いし、絶対的エースと呼べるような投手もいません。戦力が整わないことに、このオフはイラ立っています」
振り返れば11月23日のファン感謝祭「ジャイアンツ・ファンフェスタ」中にマイクで阿部監督が成績不振を謝罪していたところ、ファンから「まずお前が辞めろ!」とヤジを飛ばされた。阿部監督は動揺して、5秒ほど沈黙。球場内は騒然となった。
若手の育成を担った桑田真澄2軍監督は阿部監督と激突して退団。オコエ瑠偉がクーデターを起こして退団し、数字を残しても2軍暮らしが長い山瀬慎之助は出場機会を訴えて不満分子と化した。
ファンもヤングジャイアンツの心も離れていく阿部ジャイアンツ。いったいどうなってしまうのか。
(高橋裕介)

