フォーミュラEは、次の2026-2027シーズンからマシンがGen4と呼ばれる新型に変更されることになっている。このGen4は、F1マシンに匹敵するパフォーマンスを発揮することが期待されている。
このGen4は、最高出力が現行の350kWから600kWに増加する予定となっている。馬力で言えば469馬力から800馬力まで引き上げられる格好だ。その上予選デュエルや決勝スタート時、アタックモード使用時には、四輪駆動車となる。
さらに予選向け高ダウンフォース仕様とレース向け低ダウンフォース仕様の2種類の空力パッケージが用意され、マシン自体は従来モデルよりも大きく、幅も広くなる。
これらの変更により、F1に匹敵するパフォーマンスを発揮することが期待されているのだ。
フォーミュラEのジェフ・ドッズCEOはmotorsport.comに対し、次のように語った。
「Gen4はGen3に比べて大幅な進化を遂げている。これはどの世代でも達成できなかった、大きな飛躍だ。四輪駆動、71%の出力向上、現行のGen3マシンに比べて1周あたり約10秒ラップタイムを短縮する。つまりF1との差は間違いなく縮まるだろう」
しかもF1は来季、大幅なレギュレーション変更が予定されていて、マシンのパフォーマンスも2025年までのモノとは大きく変わる可能性が指摘されている。このことも、フォーミュラEとのパフォーマンス差をさらに縮めることになる。
「次のF1マシンはおそらく少し遅くなるだろう。だから、その差はとても小さくなるはずだ」
ドッズCEOは言う。
「しかしマシンの製造とレースチームを所有することに投資するコストは、F1チームのほんの僅かにすぎない」
「つまり僅かな投資で、95%か98%のパフォーマンスのマシンを手に入れられるということだ。Gen4でF1のすぐ近くに迫り、そしてGen5はおそらくもっと速いだろう」
ドッズCEOがGen5について言及したのは、意図的なものであろう。すでにその初期の開発は進んでいるからだ。
「もちろん、考えることがなくなることはない」
そうドッズCEOは言う。
「我々はスリックタイヤを使っているわけじゃない。市販車のタイヤに近いモノでレースをしているんだ。空力面でも、ダウンフォースはそれほど大きくはない。風洞実験もしていないし、チームごとに異なる空力パッケージを開発しているわけでもない」
「このスピードは、バッテリー、パワートレイン、そしてソフトウェアを開発したおかげで達成することができた。だからGen5はバッテリー開発の進歩から恩恵を受けることになるだろう。バッテリー開発は現在、驚異的な進歩を遂げている」
フォーミュラEには現在、一流のドライバーが揃っている。しかしその多くが、F1へ行けなかった者たち。ある意味、F1の代替案として、フォーミュラEに挑んでいるわけだ。
しかしマシンがGen4になれば、フォーミュラEは代替案ではなく、目指すべき場所になるだろうと、ドッズCEOは考えている。
「たくさんのドライバーについて語ることができるが、特に興味深いのはふたりだ。テイラー・バーナードはF2から直接フォーミュラEにやってきた。F1に行くことをあまり考えなかったんだ。そしてフェリペ・ドルゴビッチは、アストンマーティンのリザーブドライバーだったが、次のマシンに期待を抱き、フォーミュラEへの参戦を決めた」
「多くの人がGen4を見て、実際にドライブすることになれば、多くのF1ドライバー、世界最高のドライバーたちが、このマシンを自分たちの未来を築くための場所として捉えることができるようになると思う」
ドッズCEOは、同じ理論がファンについても当てはまると考えている。
「結局のところ、我々は多くのことを正しく行なうことができる。しかしモータースポーツのファンは最速のマシン、つまり速いマシンを見たいんだ」
「Gen4でスピードとパワーを大幅に引き上げられることは、誰にとってもエキサイティングなことだと思う」

