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ハミルトンがフェラーリに送った”陳情”はムダだった? 元代表のアリバベーネがバッサリ

ハミルトンがフェラーリに送った”陳情”はムダだった? 元代表のアリバベーネがバッサリ

ルイス・ハミルトンにとって、フェラーリ移籍1年目の2025年シーズンは、まさに悪夢のようなものだった。

 ハミルトン自身も、シーズン終盤にはできるだけ早く今季を終えたいと切望するほど。アブダビでは希望よりも安堵の気持ちの方が強かった。全24戦でスプリントレース1勝、決勝での表彰台はゼロ。シーズン終盤はスプリント予選含めて4連続の予選Q1敗退を喫し、メディア対応では厳しい表情を隠さなかった。

 チームメイトのシャルル・ルクレールが7回表彰台を獲得したことを考えると痛ましいほど対照的だった。

 もちろんハミルトンも、こうしたフラストレーションの中で何とか足掻こうとした。ステアリングホイール以外の分野にも積極的に関わり、状況を変えようとしていたのだ。

 ハミルトンは一連の内部文書、つまりは報告書を作成。その文書の中で彼はフェラーリに、2025年と2026年のマシンに関する技術的な提案だけでなく、手順や作業方法、そしてステアリングホイールを握った際の個人的な感想についても提案していた。

 ハミルトンの試みは実を結ばなかったが、かつてフェラーリのチーム代表を務めたマウリツィオ・アリバベーネは、この報告書はムダだったと切って捨てた。

 2014年から2018年までフェラーリのチーム代表を務めたアリバベーネは、ドライバーによるこうした取り組みについて”機能しない”と率直な評価を下している。

 アリバベーネはセバスチャン・ベッテルがレッドブル・レーシングを離れてフェラーリと契約した時にも、すでに同じ戦略に訴えていたと振り返り、「セバスチャンに対して何か嫌悪感があるわけではないが、誰もが自分の仕事をしなければならない」とスカイスポーツに説明した。

「ベッテルはファイルを送ってきた人物だ。彼は文章を書き、話し、その他諸々のことを行なった。有用な情報か? いいや、まったく役に立たない」

 ベッテルのケースとハミルトンの類似点は決して取るに足らないモノではない。今のハミルトンと同様、ベッテルもまったく異なる環境で長年にわたり成功を収めた後、マラネロにやって来た。

 彼はレッドブルの手法に慣れ親しんでおり、そのプロセスの一部はフェラーリでも再現できると確信していた。しかしアリバベーネ曰く、そのアプローチは誤った前提に基づいているという。

「その観点から言えば、ドライバーの役割は単にドライビングだけではない。マシンを開発することでもあるんだ。だがドライバーがエンジニアのように振る舞い始めたら、終わりだ」

■フェラーリがドライバーに求めるもの

 アリバベーネはさらに踏み込み、現代F1の複雑さを説明し、役割に明確な境界線を引いた。

「ドライバーはファクトリーでシミュレータを使用することもあるが、2~3日滞在するだけだ。だがマシンの開発進捗に関する一般的な情報は既に把握している。重要なことは細部に宿るんだ。F1カーを構成する50,000以上の部品が相互に連携し、複雑なロジックに従わなければならないことを考慮に入れなければならない」

 そうアリバベーネは強調。そのエコシステムの下ではすべての要素がそれぞれの場所にぴったりと収まらなければならないと彼は主張する。

「誰もがそれぞれの役割を果たさなければならないと思う。クルマが適切に調整されたら、ドライバーは特にそのクルマにポテンシャルがある場合には、エンジニアが適切に開発を進めるための情報を提供しなければならない」

 ハミルトンにとって一安心なのは、2026年にはすべてがリセットされることだ。新しいレギュレーション、技術哲学……ゼロからやり直す本当の機会となる。

 しかし警告は発せられている。フェラーリでは経験、タイトル、そしてよく書かれたレポートだけでは不十分なのだ。アリバベーネは一歩引いた立場から、それを明確に示した。マラネロでは、誰もが自分の仕事を果たさねばならないのだ。

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