来季参戦を目指す外国人ドライバーや若手ドライバーが数多く参戦した2025年のスーパーフォーミュラ合同・ルーキーテスト。2024年まで、ホンダの育成ドライバーとして国内外のレースカテゴリーを戦った荒尾創大もそのひとり。彼はThreeBond Racingのマシンを2日間走らせた。
荒尾は今月20歳を迎える19歳のドライバーだが、既に波乱万丈のレースキャリアを送っている。
2021年には、鈴鹿サーキット・レーシングスクール(SRS/現HRS)で首席となり、翌2022年にはレッドブルジュニアドライバーとしてフランスF4に参戦。ここでランキング3位となった荒尾は、次のステップとして2023年に英国のGB3(旧イギリスF3)へと参戦した。しかしそこで荒尾は大苦戦することになる。
GB3でランキング17位に終わった荒尾はレッドブルジュニアを外れ、翌2024年は日本に戻ってホンダの育成ドライバーとしてスーパーフォーミュラ・ライツ(SFライツ)を戦った。しかし結果は振るわず、同年限りでホンダ育成からも外れることになってしまった。
HRC(ホンダ・レーシング)のサイトで昨年公開されたインタビュー記事では、GB3での1年は「人生で最悪な1年」になったと話していた荒尾。当時のチームメイトは現在F2で活躍するアレックス・ダンで、この年のGB3でもランキング2位だった。荒尾は自分に合っていないマシンで走らざるを得ず、「僕がチームメイトより速く走っていれば、チームは僕に合わせてクルマを仕上げてくれたはずです。僕が速く走れなかったことが最大の問題」と振り返っていた。
荒尾は改めて当時のことを振り返り、ダンに勝つことができれば、現メルセデスF1ドライバーで、当時ジュニアフォーミュラで圧倒的な存在感を放っていたアンドレア・キミ・アントネッリにも勝てるはずだという気持ちでシーズンに臨んでいたと語った。
「事前のテストから、今F2で活躍しているアレックス・ダンと切磋琢磨していて、すごく僅差で、自分の方が速い時もありました」
「彼はとてもいいチームメイトで、自分のドライビングを磨き上げてくれたのは彼だと思います。アレックスに勝てば、正直アントネッリにも勝てるくらい……世界トップくらいになれると思っていたのですが、序盤戦調子が良かったところからどんどん焦りが出てしまい、接触などもあって不調が続いてしまいました」
「ラスト2ラウンドではまたアレックスと僅差で良い勝負ができて(荒尾は同年ベストの5位を記録)、切磋琢磨できました。もちろん、結果が出ていなかったので日本に帰ることになりましたが、ドライバーとしてはすごくレベルアップできたフランスF4とGB3だったと思います」
現在は非メーカー系のドライバーとして、再起を目指す荒尾。同じく2021年のSRSで次席となりスカラシップを獲得した野村勇斗とは、皮肉にも対照的なキャリアを送ることとなった。
野村は2022年にフランスF4を戦うも、同年限りで海外挑戦は終了。荒尾が引き続きレッドブルのサポートを受けイギリスで戦う一方、ホンダのサポートで日本のFIA F4を戦った。すると野村は2024年にF4王者に輝くと、今季もSFライツで圧倒的な強さでチャンピオンに。来季はスーパーフォーミュラ、そしてスーパーGTのGT500にステップアップするのではないかと噂されている。
そんな野村とキャリアが交錯することになった荒尾だが、「野村選手とは上のカテゴリーで成績が逆転する形になりましたが、自分もまたメーカーに戻れるようにと思っています。まず来年のSFに参戦したいですし、そこでチャンスを見つけたい」と意気込む。
来季ThreeBondのシートは、テスト初日にドライブした小出が収まることが有力視されているが、荒尾としても今回のテストを重要なアピールの場と捉えていた。自身の武器を“速さ”と話す荒尾は、ルーキー13名が参加した3日目のセッションで午前3番手タイム。ニュータイヤでのアタックができていないとして本人は悔しがっていたが、この走りを次のチャンスに繋げることができるか。

