12月14日、2歳女王決定戦となる阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ、阪神・芝1600m)が行なわれ、単勝2番人気のスターアニス(栗東・高野友和厩舎)が中団から差し切りで優勝。重賞初制覇をGⅠの舞台で達成した。
2着には後方から鋭く伸びた4番人気のギャラボーグ(栗東・杉山晴紀厩舎)が入り、先行勢の後ろでレースを進めた6番人気のタイセイボーグ(栗東・松下武士厩舎)がしぶとく伸びて3着に食い込んだ。
一方、1番人気に推されたアランカール(栗東・斉藤崇史厩舎)は後方から外をまくって直線に賭けたが、伸び切れず5着に敗退。3番人気のアルバンヌ(美浦・田中博康厩舎)は直線で前が壁になって追い込み切れず6着に終わった。
レースは予想以上のハイペースで進んだ。ヒズマスターピース(美浦・国枝栄厩舎)が暴走気味にハナを奪うと、フロムレイブン(栗東・坂口智康厩舎)、ローズカリス(栗東・大橋勇樹厩舎)、ラスティングスノー(美浦・池上昌和厩舎)に加え、5番人気のマーゴットラヴミー(栗東・小林真也厩舎)までが譲らず追走。最初の3ハロンが33秒7という速いペースで流れるなか、タイセイボーグやスターアニスは中団を進み、ギャラボーグは後方にポジションを取る。
そして、五分のスタートを切った注目のアランカールは意図的に位置を最後方まで下げる。向正面でも変わらずレースが激しく流れるが、そこでアランカールは馬群の外を通って中団まで進出。1000mの通過は57秒3という記録的なハイペースとなったレースは差し馬有利の展開で直線を迎える。
最内を突いたマーゴットラヴミーが先頭を窺うが、馬群からいち早く抜け出したタイセイボーグがそれを制して先頭に立つ。しかし、それも一瞬のこと。中団から脚を伸ばしたスターアニスが力強く抜け出すと、内から猛追するギャラボーグを1馬身1/4突き放してゴール。見事に2歳女王の座に就いた。 スターアニスを勝利に導いた松山弘平騎手は「前走(中京2歳ステークス(GⅢ)2着)で1400mを走ったときにマイルは大丈夫だろうと思っていました。直線の手応えも良く、追い出しを我慢するぐらいの余裕がありました。強かったと思います」と振り返った。1ハロンの距離延長に不安を抱く向きもあったが、その説をあっさりと跳ね返して見せた。
同馬は父が短距離系のドレフォン、母の父が気性の勝った産駒を多く出しているダイワメジャーであり、マイル以上の距離延長に関して壁はありそうだが、少なくとも桜花賞まではこの卓越したスピード能力を持つ2歳女王を中心に進んでいくことだろう。
2着のギャラボーグは未勝利戦を勝ち上がったのち、約3か月の休養をはさんで臨んできた格上挑戦でありながら、あわやのシーンを作ったのは素質の高さを証明。ロードカナロア産駒だが、陣営は新馬戦、未勝利戦とも1800mのレースを使っており、これはオークスまでの距離延長を見据えたものだと思われる。そのなかで後方から馬群を割って切れる脚を見せたことは大きな収穫だったと言えるだろう。桜花賞でもちろん有力馬として名が挙がるだろうが、その先のオークスまでをカバーする長いスパンで注目していきたい馬である。
3着のタイセイボーグは、外の17番枠からのスタートながらすんなりと6番手に付け、直線では一瞬先頭に立つ見せ場を作った。西村淳也騎手の好騎乗もあったが、重賞で厳しい競馬を喧々したキャリアがここで生きたとも考えられる。桜花賞へ行っても伏兵としてマークすべき存在となるはずだ。
アランカールは鞍上がとった戦略に疑問が残る。これまでの2戦で少頭数の競馬しかしてないことを考慮し、また1番人気に推されたプレッシャーもあったのだろうが、五分のスタートを切りながら最後方までポジションを下げて揉まれるのを避けたのは消極的な騎乗としか映らないし、またそれでいて速い流れのなかでまくって出たのもいささか強引すぎた。結果、大外を回った距離ロスも響いて勝ち負けには絡めなかったわけだが、それだけのマイナス材料を課されながら勝ち馬から0秒5差まで追い込んだのは、逆に能力の高さを表したとも言えよう。せめて、桜花賞の予行演習とも言えるこの一戦で敢えて揉まれる競馬を経験させていれば…と思わざるを得ない。
もったいなかったのは6着のアルバンヌ。馬群のなかでレースを進め、直線でもインを突いたが、まともに前が壁になって進路を失い、まとも終えたのは最後の50mほどだけ。スムーズに進んでいれば、2~3着はあったのではと思わせるレース内容だった。ここで見限らず、継続的に注目していきたい1頭である。
文●三好達彦
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