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空・海大バトルが半端じゃない ! VFX映画の最高峰『アバター:ファイアー・アンド・アッシュ』 (vol.79)

空・海大バトルが半端じゃない ! VFX映画の最高峰『アバター:ファイアー・アンド・アッシュ』 (vol.79)

映画はもう配信で観ればいいと思っている人たちに「待った ! 」をかけるジェームズ・キャメロン監督、待望のシリーズ第3作『アバター:ファイアー・アンド・アッシュ』。常に出来ないことに挑戦していきたいという監督の情熱と執着は大ヒットシリーズ『エイリアン』『タイタニック』からさらに躍進させた未来SF大作を創造し、CG撮影技術の限りを尽くしたVFXの可能性をリードしている。心を震わせる映像美と空・海 大バトルのアクションはIMAXまたはドルビー、4DXのプレミアム・ラージフォーマットで体験したい映画ファンへのクリスマス・プレゼントだ !

キャメロン監督の情熱と役者たちの素潜り演技

画期的な海底ファンタジーを描いて、VFX 3Dの映像美で我々のど肝を抜いた『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022) 。スタッフがそれぞれ体力的にも限界にチャレンジしたこの映画の撮影では、マンハッタンビーチのスタジオに巨大プールが設置され、その水の中での演技を要するという通常の演技以上の訓練がほどこされた。フリーダイバーとして、長年訓練してきたキャメロン監督は、“キリ”を演じたシガニー・ウィーバーと、海の民メトカイナ族のリーダーの妻 “ロナル”を演じたケイト・ウィンスレットが、約7分15秒という記録を更新して、自分のダイバー記録を抜いたと微笑みながら話す。

監督とこれまで仕事を共にしてきたキャストやスタッフとの連携は固い。心身の限界に挑戦するトレーニングに身を投じた役者たちへの愛は、ロサンゼルスの北、バーバンクのディズニースタジオで行われたプレス用の試写でも伝わっていた。映像の冒頭に出てくるキャメロン監督自らの特別メッセージ映像では、「この映画は生成AI (ジェネレーティブAI) は使っていません。全てが生身の役者の演技、映画製作スタッフの努力の証です ! 」と、撮影過程を記録したドキュメンタリー『炎と水―メイキング・オブ・アバター (原題:Fire and Water: Making of the Avatar Films) 』 (ディズニープラス) のクリップを紹介しながら、いかに脚本家やカメラマン、セットデザインや衣装に編集ほか、俳優など人間のスタッフがいてこそ可能になった映画であることを熱心に語りかけていた。

俳優の演技をトレースするパフォーマンス・キャプチャーは、人間関係がなくては成り立たないというキャメロン監督。より自然なSFの世界観を創造するために、多数のカメラが俳優の動きを追いかけ、顔の表情だけでも、GoProのような小さなカメラが2個設置されるなど、撮影に関わったカメラマンの一人は、現場はまるでNASAの宇宙ステーションのようなハイテクな現場だったと語る。カメラ、そしてコンピューターが捉える生の演技を最新VFX技術を使って作り出してきた監督の、ハリウッド業界が一部移行しつつある生成AIを使った映画製作に対するブレーキは、耳を傾けるべき重要なメッセージ。

監督はカナダ出身。子どもの頃からSFコミックブック、小説、テレビ番組などに没頭し、アメリカのコミュニティ・カレッジで海洋学ほか、雑学を学ぶ。卒業後、ついた仕事はトラック・ドライバー。現在の監督業とはかけ離れた仕事をしながら、ハイパーコネクティブな人と物、音楽、情報などのデータが超連結されたスペースバトルを常に想像していたのだそうだ。『スターウォーズ』(1977) が興行ナンバーワンなら、それ以上の世界観を想像できる僕にでも出来るはず ! と映画制作のキャリアを目指す。しかし、フィルムスクールに通うお金はなく、トラックを運転していない週末に、USC (ルーカスなどが通ったフィルムスクールのある南カリフォルニア大学) に赴いたのだそうだ。当時のフィルムを使った特殊効果映画の撮影法を学ぶために、フィルム撮影で行うための視覚効果用オプティカルプリントや、『オズの魔法使』(1939) や『2001年宇宙の旅』(1968) に使用されたフロントスクリーン・プロジェクション、『メリー・ポピンズ』(1964) などで開発されたソディウム・ヴェイパー・プロセス (ブルースクリーンに代わる光化学テクニック) や、被写体が動いている状態で画面合成するトラベリング・マットなど、VFX映画の学術的文献を読みまくり、その大量のコピーを持ち帰って自らの教科書を作成。歴史的VFXの撮影技術を取得した上で、撮影監督としての仕事にたどりついたのだそうだ。

『殺人魚フライングキラー』(1981) で監督デビュー。物語は陸軍が開発した生物兵器のピラニアが飛び魚と交配して、空飛ぶ殺人魚がカリブ海のリゾートを襲うという内容。当時それほど評価されなかったが、その3年後に『ターミネーター』(1984) の大ヒットで、見事、一目置かれるVFX映画の監督として注目され、現在もその地位は揺るがない。

先日、Netflixへのワーナーブラザース売却に遺憾も示し、映画製作が巨大配信コングロマリットに飲み込まれてほしくないジェームズ・キャメロン監督の願いは明らか。パフォーマンス・キャプチャーは生成AIと比べて、人間の仕事を置き換えるものではないと主張。人間関係が不可欠なパフォーマンス・キャプチャーはシアターリハーサル (ゲネプロ) のようなものだそうだ。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022) のお披露目の際、女優シガニー・ウィーバーも、「この歳になって、若い“キリ”を演じられるなんて、役者冥利につきる」と、役者の年齢に関係ない、画期的なCG技術撮影の革命に感銘していた。

『アバター』シリーズの構想は5話あると公表されているが、共に映画製作の大波をくぐり抜けてきたプロデューサーのジョン・ランドーが昨年他界し、さらに最新映画の興行成績によっては続編がどうなるか‥‥など、大きな賭けとなるこの映画。中弛みのないド迫力映像アクションが観客に続編を待望させることは間違いない。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』会見写真 2023@DGA 撮影/ 著者

監督はもともと海、そして自然が大好き

私も若い頃、ダイビングのライセンスを取得して沖縄、石垣島の海の底で、雲がなびいていくかのように大きなマンタレイの影を海の中で感じ、美しい珊瑚に囲まれながら、遠くにいる鯨の声に耳を傾けたことがある。いまだからこそ、地球、そして海の環境問題は大きく問われているが、キャメロン監督は全世界で驚異的なヒットを放った『タイタニック』(1997) の成功のあと、海底3,650メートルに沈んだ北大西洋に眠る実在のタイタニック号の真実を探るために、当時、最先端のリアリティ・カメラ・システムを開発。ドキュメンタリー映画『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密 (原題:Ghost of the Abyss) 』(2023) でその冒険を視聴することができる。

以来、深海域調査のために、自ら有人潜水艇を7年間かけて開発し、新たな深海の探求者として2012年、グアム沖のマリアナ海溝に単独で潜航し、世界初の快挙を成し遂げた記録映画もまたディズニープラス、ナショナル・ジオグラフィックのドキュメンタリー番組「ジェームズ・キャメロン 深海への挑戦」(2014) で視聴することができる。

趣味と仕事がいっしょになり、いつの間にか環境や自然界の求道者のような活動をつづける監督。映画『アバター』シリーズの中では、それぞれの種族が創造され、さまざまな生物環境化学を学ぶかのように、部族環境の動植物の有様まで追求している ( PANDORAPEDIA ) 。たとえば、ザ・ツリー・オブ・ボイス (声の木) という場所はオマティカヤ族の精霊が住む場所。木の種がくらげのように飛び交うときが神聖な場所のサイン。ナヴィの後頭部から伸びた神経繊維フィーラーと熱帯雨林が交わるとき、過去の記憶が秘められた神聖な場所で、ナヴィたちは亡くなった人たちに再会することができる。物語の根底にはそういった不思議なナヴィ自然界の掟や、陸海洋生物たちとのハーモニーの中で生きるというナヴィのモットーがより明らかに描かれ、最新作の第3作へと続いている。

『アバター』(2009)

今作ですごいのは、今まで登場してきた森の民 (主人公の“ジェイク・サリー”が率いるオマティカヤ族) 、海の民に続いて火山帯に暮らすナヴィの過激な種族、灰の民 (Ash People) 、そして自由人精神にあふれるパンドラの遊牧民ウィンド・トレーダーズという風の部族など、善と悪の世界観がどんどん広がっているところ。それは前作を超える空・海 大バトルの始まりである。人間側では、人の身体を捨てた元海兵隊員の“ジェイク・サリー”のアバター化過程とは違う、海兵隊のメモリーと遺伝子組み換えで生まれたナヴィのハイブリッド戦士 (リコビナント) も登場するなど、『スターウォーズ』さながらの豪華な陸海兵器のラインナップで見事。

この3時間17分という最新作は、やはり1作目と2作目を観ていてこそ、より楽しめる大作だが、そんな時間はないという人に簡単なおさらい。

第1作『アバター』の舞台は2154年。滅亡に瀕した人類が宇宙の星、パンドラにやってきた。主人公元海兵隊員“ジェイク・サリー”は遺伝子組み替えでアバターとなり、パンドラの調査に派遣される。森の民、オマティカヤ族の“ネイティリ” (ゾーイ・サルダナ) に恋に堕ち、パンドラの自然体系に魅了されたことで、ジェイクはRDA (資源開発会社−Resources Development Administration) の任務を放棄して、ナヴィ側についたことにより海兵隊大佐“クオリッチ”の敵となる。

『アバター』(2009)

第2作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』で、RDAのクオリッチと海兵隊から逃れるため、故郷の森を去り、ノマド (遊牧民) となって行き着いたジェイク・サリー一家が迎えいれたのが海の民メトカイナ族。ジェイクの娘として育った、ナヴィ研究の第一人者グレース博士のアバターの子ども“キリ” (シガニー・ウィーバー) が美しい娘に成長し、ナヴィ伝説の女神エイワにつながるパワーに目覚めはじめる。サリー家にはもう一人、子どもたちと戯れる人間の子どもがいた。幼い頃にパンドラに取り残されたクオリッチの実の息子。足早にあちこちに飛ぶように駆け抜けるため、“マイルズ”がつけたあだ名は、蜘蛛を意味する“スパイダー”。やんちゃなジェイクの次男“ロアク”は海の民の族長の娘“ツィレヤ”と恋仲になり、インテリジェントなパンドラの鯨のような生物“トゥルクン”のはみだしもの“パヤカン”と友情を結ぶ。

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)

第3作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』では、森の民の戦士でサリー家の母である“ネイティリ”の苦悩から始まる。長男を失った苦悩は、人間へのヘイトに置き換えられ、家族の不協和音に夫婦が揺れる。しかし、次世代のパンドラを担う子どもたちが勇気を振り絞り、その困難に立ち向かっていく。新顔の注目株は灰の民。炎を操りながらパンドラの支配を目論む女性リーダー、“ヴァラン”を演じるのが、チャーリー・チャップリンのひ孫のウーナ・チャプリン。RDAの脅威の下で、パンドラという楽園の星を守れるのか。映画のキャンペーンで設置されたパンドラの展示を楽しむ人々はその世界観、丹念に作られた衣装やプロップで映画の余韻を楽しんでいた。

撮影 / 著者

文 / 宮国訪香子

作品情報 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』

舞台は、神秘の星パンドラ──地球滅亡の危機に瀕した人類はこの星への侵略を開始。アバターとして潜入した元海兵隊員のジェイクは、パンドラの先住民ナヴィの女性ネイティリと家族を築き、人類と戦う決意をする。しかし、同じナヴィでありながら、パンドラの支配を目論むアッシュ族のヴァランは、人類と手を組み復讐を果たそうとしていた。パンドラの知られざる真実が明らかになる時、かつてない衝撃の”炎の決戦”が始まる!

監督:ジェームズ・キャメロン

出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、ブリテン・ダルトン、トリニティー・ジョリー・ブリス、シガニー・ウィーバー、ジャック・チャンピオン、ケイト・ウィンスレット、ウーナ・チャップリン、スティーヴン・ラング

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

2025年12月19日(金) 日米同時公開

公式サイト 20thcenturystudios.jp/movies/avatar3

『アバター』『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『炎と水―メイキング・オブ・アバター』『ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密』はディズニープラスで配信中

配信元: otocoto

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