12月16日(火)、ポルトガルのエストリル・サーキットで、マックス・フェルスタッペンがメルセデスAMG GT3のテスト走行を実施した。冷たい雨が降る中、レッドブルのロゴが入った「Verstappen.com Racing」カラーリングをまとったマシンを走らせた。
SNSでは、彼の走行写真や動画が続々とアップされている。
フェルスタッペンとメルセデスとの間には、2021年に当時メルセデスに所属していたルイス・ハミルトンと激しいタイトル争いを演じる等、ライバル関係があるようにも思えるが、今回のテスト走行には大きな意味合いがあり、ニュルブルクリンク24時間レースへのフェルスタッペンの参戦に影響を与える可能性がある。
2025年のGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCE)にVerstappen.com Racingの名でアストンマーティンを走らせたBehind 2 Seas Motorsportは、2026年からはメルセデスの新たなフラッグシップチームとなり、引き続きGTWCEでVerstappen.com Racingのプロジェクトを展開すると噂されている。
エストリルでのテストを完了したメルセデスのワークスドライバーであるジュール・グーノン、フェルスタッペンが9月にニュル耐久シリーズ(NLS)に参戦した際の相方クリス・ルルハム、元メルセデスのワークスドライバーであるダニエル・ジュンカデラがマシンをシェアするようだ。
しかし、なぜVerstappen.com RacingはメルセデスAMGを選択したのだろうか? そして、これはフェルスタッペンの24時間レースへの計画とどのような関係があるのだろうか?
メルセデスAMG GT3を支持する論拠のひとつとして、ルルハムがHWAで開発した洗練されたメルセデスAMG GT3を、フェラーリ296 GT3よりも好んでいるという点が挙げられるだろう。
フェラーリのマシンは、9月のNLSでフェルスタッペンが勝利した際に乗っていたマシンだが、メルセデスAMG GT3はGT3マシンの中で最も扱いやすいとされており、おそらく世界で最も過酷なサーキットであるノルドシュライフェ(ニュル北コース)において、不利な材料にはならないだろう。
しかし、9月にNLSへ出場した際に所属したスイスのエミル・フライ・レーシングではなく、2-Seas Motorsportがフェルスタッペンの次回ニュルでのレースに出場する際も担当することになるのだろうか?
だがシルバーストンを拠点とする2-Seas Motorsportには、この象徴的なサーキットでの経験がないため、明らかにフェルスタッペンのプランにはないだろう。
motorsport.comの姉妹サイトであるMotorsport-Total.comは、複数の情報源から、フェルスタッペンの第一候補チームはメルセデスAMG GT3を使うウィンワードだという情報を得た。フランクフルト近郊のアルテンディエに拠点を置くこのチームは、ノルドシュライフェでの経験は不足しているが、DTMへの参戦によりメルセデスの中でも最も実績のあるチームのひとつであり、2026年には伝統のル・マン24時間レースへのデビューを計画していると噂されている。
ウィンワードはメルセデスの持つノルドシュライフェでの豊富な経験を活用できる可能性があるが、エミル・フライ・レーシングもフェラーリもこの分野では特に優れた技術を持っていない。
最近、フェルスタッペンがAMGの幹部と会談している姿が目撃された。この会談がGTWCEにおけるVerstappen.com Racingプロジェクトに関するものなのか、それともウィンワードの24時間レースへの参加の可能性に関するものなのかは不明だ。
しかしフェルスタッペンは2026年のニュルブルクリンク24時間レースに出場するのだろうか?
シンガポールGPの際、フェルスタッペンはこの質問に「多くの状況次第だ」と述べた。彼はF1の新レギュレーションについて言及し、「少し慌ただしくなる」だろうと語った。
さらに彼は「それから、GT3チームのプログラムや、来年どんなマシンに乗るかといった問題もある」と当時コメントし、マシンの変更を否定しなかった。
「もちろん(ニュルに)戻りたい。ただ、何レース走れるかまだ分からない。でも、もし可能性が出て良い予感がするなら、そしてF1で何が起きるかにもよるが、もちろんそうするよ」
それが問題の核心かもしれない。なぜならフェルスタッペンは、誰の目にも明らかなように、プロフェッショナルな準備を整えなければ安心して挑戦に臨めないからだ。
しかしフェルスタッペンは、ノルドシュライフェでメルセデスを走らせた経験はない。さらに問題なのはスケジュールだ。ニュル24時間(5月14日~17日)はF1の週末と重ならないものの、NLSのウォームアップレース3本と2026年ニュル24時間レースの予選はF1と日程が衝突している。
ニュルブルクリンク24時間レースの主催者であるADACノルトラインは、プラクティスセッションの延期を却下した。
Motorsport-Total.comが信頼できる情報源から得た情報によると、フェルスタッペンが24時間レースに出場するには、少なくとも3月14日に開催されるニュルブルクリンク耐久シリーズの8週末のうち最初の週末であるNLS1を完走する必要があり、この週末は上海での今シーズン2回目のF1週末と重なる。
2週間前、NLSの広報担当者が延期の可能性について一切聞き入れようとしなかったのに、今は少し様子が違うというのは興味深い。現時点で、NLSのマイク・イェーガー代表は、日程変更の可能性を否定していない。
しかし、彼はそれをフェルスタッペンが原因ではなく、現在のスケジュールに従って5つのNLSレース(NLS1から3と2つの予選レース)が37日間で行なわれる場合、チームに極度の負担がかかるためだと説明している。
「シーズンの予選日程の50%を24時間レース前に実施するのは理想的ではないが、現状では他に方法がない。変更が必要な場合は喜んで対応する。しかし、それはまだ分からない」とイェーガーはMotorsport-Total.comの質問に対し説明した。現時点では「具体的なことは何もない」とのことだ。
フェルスタッペンもしくは彼に近い関係者は延期について問い合わせたのかという質問に、「NLSには問い合わせていない」とイェーガーは答えた。
いずれにせよ、イェーガーはフェルスタッペンがNLSに戻ってくることを心待ちにしているだろう。
「我々は彼を我々のレースシリーズに復帰させたいと思っている。彼の地に足のついた性格を高く評価してるし、彼と彼の関係者全員が我々に良い影響を与えていると考えているからだ。しかし、それに関して我々に口出しする権利はほとんどない」
2026年のNLSカレンダーが最終的に変更され、F1との日程衝突が回避される可能性もあるかは興味深いところだ。ただし、ノルドシュライフェはレースが開催されていなくても通常予約でいっぱいなので、スケジュール調整は困難だ。しかし今のところ、フェルスタッペンは2026年にメルセデスAMGで24時間レースに出場できる可能性がある。

