ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤは2025年シーズンは苦しみ5位に終わった。彼としては、コンスタントに優勝や表彰台争いができない事実を受け入れるのが難しかったという。
2024年に僅差でタイトル争いに敗れたバニャイヤは、2025年は王座奪還に向けてモチベーション高く臨んでいた。チームメイトにはマルク・マルケスが加入するということもあり、ドゥカティ内部での立場を明確に示したいという思いもあった。
しかし、実際にシーズンが始まるとマルク・マルケスが圧倒的。シーズン残り5戦という驚異的な速さでキャリア7度目のMotoGPクラスタイトルを獲得されてしまった。
2025年型のデスモセディチGPへの適応に苦しみ、何度もQ1からの戦いを強いられたバニャイヤ。アメリカや日本GPなど、時折輝きも示したが、安定した走りは難しかった。
バニャイヤは2025年を最高峰クラスに昇格してから「おそらく最悪のシーズン」と表現していたが、そこからの学びについて訊かれると、次のように続けた。
「分からない。正直に言って、今季は“良かったこと”よりも“悪かったこと”の方が明らかに多かった。そして、過去4シーズンでは3位ですら悪い結果だっただけに、今季の現実を受け入れるのに苦しんだ」
「シーズンを通して、チームとともにできる限りの最善を尽くし、2025年型バイクを理解し、適応しようと努力してきたが、残念ながらそれがうまくできなかった。だから本当に苦しんだよ」
「バイク自体は非常に大きなポテンシャルがあった。マルクがそれを証明しているからね。でもそれ以外の人にとっては……僕はただ苦しんでいるだけだった」
「正直に言って、このシーズンから何かを学べるのかは分からない。ただ、常に適応しようとし、常に競争力を発揮しようと努力するのを、自分の中で明確にしておくのは重要だと思っている。それが将来、きっと自分の助けになるはずだ」
そしてバニャイヤは調子を下げたことによって、2025年シーズンは「調子の良い週末」の定義も変わったと話した。
「こういう瞬間は、多くの人がアドバイスをしてくれる。そして正直なところ、最も助けになったのは“楽しめ”というものだった。時には問題を忘れて、ただ楽しむ方がいいこともある」
「もうひとつ良かったのは、目標を変えることだった。以前は勝つことが良い結果で、3位は悪い結果だった。だけど今では、トップ5でフィニッシュすること自体が良い結果になった。だから、目標を少し変える必要があった」
「でも今季の僕にとって最も重要だったのは、バイクに乗っていて良い感触を得られないこと、そして自分が本来戦えると分かっているレベルで戦えないことを受け入れることだった。それは最も受け入れ難いことでもあったね。だけど一方で、“楽しむ”という考え方は、良い意味で助けにもなった」

