現地時間12月16日(日本時間17日)、ネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで行なわれた「エミレーツNBAカップ2025」の決勝戦で、ニューヨーク・ニックスが124-113でサンアントニオ・スパーズを下し、3代目王者に輝いた。
直近10戦で9勝1敗、5連勝中のニックスに対して、スパーズも13試合で10勝と勢いに乗っていた。特にスパーズは、13日の準決勝でエースのヴィクター・ウェンバンヤマが待望の戦列復帰を飾り、オクラホマシティ・サンダーの連勝を16で止めていた。
1万8609人が駆けつけた試合は、序盤こそニックスがリードを奪うも、その後スパーズが逆転。積極果敢なペイントアタックを仕掛けたステフォン・キャッスルと、プレーメーカーのディアロン・フォックスを中心に61-59の2点リードで試合を折り返す。
後半に入ってもスパーズはフォックスが2本連続で3ポイントを決めるなど、主導権を握り、第3クォーター中盤に2桁まで点差を広げていた。
しかし、ニックスはOG・アヌノビーとカール・アンソニー・タウンズ、そしてベンチ陣が躍動し点差を詰めていく。
94-89とスパーズの5点リードでスタートした第4クォーター、ニックスのオフェンスが爆発。ミッチェル・ロビンソンのオフェンシブ・リバウンドからジョーダン・クラークソンが2本連続で3ポイントを決め、残り10分27秒で逆転すると、そこからアヌノビーやジェイレン・ブランソン、ロビンソンらが次々と加点し、鮮やかな逆転勝利を飾った。
ニックスは、アヌノビーがゲームハイの28得点に9リバウンド、ブランソンが25得点、8アシスト、タウンズが16得点、11リバウンド、2スティール、ミケル・ブリッジズが11得点、5リバウンド、5アシスト、ジョシュ・ハートが11得点、8リバウンド、2スティールと活躍。
さらに、ロビンソンがオフェンシブ・リバウンド10本を含む15リバウンド、2ブロック、クラークソンが3本の長距離砲を含む15得点、タイラー・コーレックが14得点、5リバウンド、5アシストとベンチ陣も躍動した。
大会MVPに選ばれたブランソンは「こういう試合、こういった環境はNBAでは滅多にない。だからこそ、僕らはこの大会で得た経験を活かさないとね。このチームの皆ならきっとそうしてくれるだろう」と口にし、ベンチ陣の活躍を称えていた。
「第3クォーターで10点ビハインドを背負い、相手が試合をコントロールしていた。僕らは何とか打開策を見つけようとしていた。第4クォーターでベンチ陣の助けもあってランを仕掛けることができた。あれが大きかったね」
この試合、ニックスはマイルズ・マクブライドとランドリー・シャメットがケガで欠場していたが、コレックやクラークソンらが先発陣を見事に援護し、勝利に貢献した。
今季から指揮を執るマイク・ブラウンHC(ヘッドコーチ)は、カップ戦での結果に大きな手応えを感じていた。
「ある程度のところまで来ると、これは一発勝負のトーナメントだから、すべての試合が重要になってくる。自分たちが思っているようなプレーをしなければいけないと、どの試合でもプレッシャーを感じていた。そこで成功を収めることができたことで、全員の自信につながった」
ニックスがNBAで頂点に立ったのは1973年以来初。主将ブランソンは「この勝利は最高さ。僕らはこの瞬間を楽しむことにするよ」とタイトルを喜びつつも、「でも明日(ラスベガスを)離れたら、また前へと進んでいく」と気を引き締めていた。
文●秋山裕之(フリーライター)
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