MotoGPクラスで通算5勝をマークしているミゲル・オリベイラは、2025年シーズン限りでシートを喪失。彼はキャリア続行のために全力を尽くしたものの、十分ではなかったと振り返った。
オリベイラは2019年、MotoGPクラスにテック3から昇格。KTMファクトリーチームも含む4年間で5勝を挙げる活躍を見せた。
アプリリア陣営のRNF、トラックハウスでの2年間を経て、2025年はヤマハ陣営のプラマックに加入。ここで彼は1+1の2年契約を結んでいたが、チームがパフォーマンス条項を行使し、1シーズンでシートを失ってしまった。ヤマハがプラマックにWSBK(スーパーバイク世界選手権)からトプラク・ラズガットリオグルを加入させることを決断した煽りを食らってしまった格好だった。
オリベイラにとって厳しかったのは、第2戦アルゼンチンGPでフェルミン・アルデゲル(グレシーニ)から接触されて転倒、その際に左胸鎖関節の脱臼と靭帯損傷の怪我を負ってしまったことだろう。
ヤマハへのマシン乗り換えの出鼻をくじかれてしまい、第6戦フランスGPで復帰したものの、落とした調子はなかなか戻らなかった。なおラズガットリオグルの起用が発表されたのは、彼の復帰から間もない時期だった。
負傷のマネジメントと同時にMotoGPでの将来を懸けて戦うことがどれほど大変だったかを問われると、オリベイラは次のように語った。
「これはあらゆる意味で非常に身の引き締まる経験だった。なぜなら、何事も当たり前ではないということを思い知らされたからね」
オリベイラはそう語る。
「僕は長期的なパートナーシップの見通しのもとでチームに加入したけど、自分にもバイクにも時間が必要だと理解していたんだ」
「回復は予想以上に時間がかかって驚かされた。数週間で復帰できるような簡単なケガではなかったんだ」
「そのせいでバイクを理解して、チームに溶け込んで限界まで攻める段階に入るのが遅れてしまった。そして、それがシートを失うという結果につながったんだ」
「でもこのことで恨みや後悔の念を抱くべきではないと思っている。だって自分は全力を尽くしたと分かっているし、そういったフィーリングで終えるべきだからだ」
「結局のところ、残るためにできる最善は尽くしたし、その最善が十分ではなかったというだけのことだ」
直近3シーズン、特にRNF/トラックハウスで過ごした過去2年間はフラストレーションの多いものだったが、それでもオリベイラはMotoGPで5勝、7回の表彰台、1度のポールポジションというかなりの結果を残してきた。
MotoGPクラス昇格以前にも、彼は下位カテゴリーで大きな成功を収めており、Moto2とMoto3の両方でランキング2位を記録している。
オリベイラは来年からBMWのファクトリーチームに加入し、WSBKで新たな挑戦をスタートさせるが、ここまでのキャリアを満足して振り返る事ができると話す。
「異なるカテゴリーで勝利したと言えるライダーは多くないが、自分はその特権に預かることができた」とオリベイラは言う。
「良いチームに恵まれ、自分のポテンシャルを最大限に引き出してくれた。特にMoto3やMoto2ではそうだ。キャリアを通じて多大な支援をしてくれたKTMには感謝してもしきれない」
「これまでに関わってきた多くのチームや人々が、ライディング面でも技術面でも自分を成長させ、最高の自分を引き出してくれた。将来どんな成果を挙げることができたとしても、それはすべて、これまでの経験の積み重ねの結果だと思っている」
なおオリベイラは2026年にアプリリアのテストライダーとなる可能性も探っている。これは主にBMWが許可を出すかどうかにかかっている。
そしてMotoGPへの復帰の可能性を諦めたわけではないと彼は語った。
「フル参戦ライダーとしてここに戻る道を完全に閉ざすつもりはまったくない。ただ、現時点ではそのチャンスがないというだけだ。だから今は、来シーズンに向けて自分に何ができるのかに集中する必要がある」
「将来はまだ開かれているんだ」

