アメリカの田舎町で、病気の祖父を介護しながら暮らしている青年キリアン・マドックス(ジョナサン・メジャース)。収入が少なく友人も恋人もおらず、孤独な日々を過ごす彼の夢は、世界一のボディビルダーになって雑誌の表紙を飾ること。日々、過酷なトレーニングと食事制限に打ち込むキリアンだったが、体は悲鳴を上げ、心のバランスを崩し精神が蝕まれていく。そして、ある事件をきっかけに、狂気の世界へと突き進んでいく。
主人公の人生と変わりゆく心情
お仕事お疲れさまです…と冷静に言えないほど、衝撃的な作品に出会いました。
アメリカの小さな田舎町に住む1人の男、キリアン。友達も恋人もいないけど、大きな夢だけはあった。それは一流のボディビルダーになって雑誌の表紙を飾ること。
もう本当に…人間はムキになると見苦しい。自分に厳しいことは大事だけど、その気持ちが行き過ぎた瞬間、ただのワガママな人になります。側から見ていてもイラッとしたり哀れだなぁと思いながら、溜め息ついてしまう。
でも、“こんな人、どこかで会ったことある”と思ってしまうのが、また刺激的。
本作は、キリアンの人生はもちろんだけど、変わりゆく彼の心情にフォーカス。素敵な夢を持っていたのに、ムキになり始めたら何もかもうまくいかなくなります。
彼は筋肉のことしか頭にない。ボディビル大会で優勝すれば、その世界では注目されますが、キリアンは出場してるだけで自分は大スターだと勘違い。“なんだよコイツ”と思いながらも、なんか見ていて面白い。
もちろん、ボディビルダーは筋肉のことを一番に考えないとダメです。大会前は筋肉のパンプアップ、トレーニングも命懸けです。私も身体の美を競うフィジークでボディビル大会に出場したことがありますが、女性らしさを兼ね備えた部門でも、毎日ジムに行くことばかり考えてました。
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「本人の頭の中では有名人。ハッキリ言って痛い」
この映画ではムキムキを目指してるからこそ、いろんな違法なモノにも手を出してしまう。それも残念だけど、もっと最悪なのは女性に声を掛けても自分の思い通りにならないとキレてしまうところ。
ディナーでは筋肉の話ばかりでフラれる始末(そりゃ当然)。優しい言葉を掛けてくれる女性は大切に扱うものの、嘘を正論に塗り替える身勝手さ。怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントも何もなく、気に入らないと罵声を浴びせ、いつも自分にとって都合の良いものにすり替えてしまう。
「見て! 俺だぜ!」の態度は誰よりも大きく、彼を知ってる人は誰もいないのに、本人の頭の中では有名人。ハッキリ言って痛い。世の男性は、キリアンが何を大事だと思っているのか、話をぜひ聞きに行ってください。キリアンがとんでもないことをやらかすのでは?…とラストに向かいながら緊張すらしました。
さて、久しぶりにジムにでも行こうかなぁ〜。
ボディビルダー
監督・脚本:イライジャ・バイナム
出演:ジョナサン・メジャース、ヘイリー・ベネット、マイク・オハーン
配給:トランスフォーマー
12月19日(金)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
「週刊実話」1月1日号より
LiLiCo(リリコ)
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
