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開成卒なのに黒服5年。私が“退職代行”を発明した理由「仕事って楽しくないもの」

開成卒なのに黒服5年。私が“退職代行”を発明した理由「仕事って楽しくないもの」

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後発の退職代行サービスに業界1位を奪われた“元祖”退職代行『EXIT』の元代表・岡崎雄一郎さん。開成中学校・高校からアメリカ留学という華々しい経歴の一方で、大学中退後は解体工や歌舞伎町のキャバクラの黒服を経験した“型破り”な人生を歩んできました。

現在はEXITの代表を退任し、寝坊すると課金される目覚ましアプリ『メザミー』を運営する岡崎さんにこれまでの歩みを聞いてみると、そこには「人生を軽やかに生きるヒント」が隠されていました。

海外留学も解体工も黒服も「面白そうだから」で決めてきた

開成卒なのに黒服5年。私が“退職代行”を発明した理由「仕事って楽しくないもの」

――岡崎さんは「東大合格者数1位」と言われる開成中学校・高校からアメリカへ留学、大学中退後には解体工や歌舞伎町の黒服を経験されて、その後、日本初の退職代行事業を立ち上げました。かなり"型破り"なキャリアに見えるのですが……。

たしかにそう見えるかもしれませんね。ただ、実際はあまり深く考えずに行動しているだけなんですよ。今日もはたらく皆さんのためになるお話ができるかどうか……。「なんとなく面白そうだから」で人生を決めてきた人間ですから。

――ぜひその原点から聞かせてください!アメリカ留学はどのような経緯だったのでしょうか?

まさに、面白そうだったからです(笑)。当時は成績が特別いいわけではなかったので、東大を受験するつもりもありませんでした。本当に「なんとなく楽しそうだから海外行ってみるか」くらいの軽い気持ちでしたね。

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でも、留学中にボクシングにハマって授業をサボるようになってしまって。結局、落第してしまいました。明確な理由のない海外留学だったので勉強して挽回しようという気も起きず、「仕方ないな」と帰国しました。

――帰国後は建設現場の作業員としてはたらかれたそうですが、多くの人が想像する“開成卒業後の進路”とはギャップがあるかと思います。そこに違和感や迷いはありませんでしたか?

それはまったくなかったですね。高校時代の友人は大企業に入っていましたが、とくに劣等感はなく「まぁこんなもんだろ」って感じでした。むしろ一般企業ではたらくイメージができなかったんですよね。

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だから「体を動かす仕事なら退屈しないだろう」と、派遣で現場仕事のアルバイトから始めて、その延長で解体工や型枠大工の仕事を始めました。ただ、現場仕事は朝が早くてきつかったんです。それで「朝が無理なら夜にはたらけばいいじゃん」とシンプルに考えて、歌舞伎町で黒服の仕事を5年ほど続けました。

一方で「自分は現場仕事を一生やるわけじゃない。いつかビジネスを立ち上げよう、そのほうが面白そうだ」とも漠然と考えていました。

軽い気持ちで「退職代行」を始めてみたらまさかの大バズり「世の中、面白いな」

――退職代行サービスを始めたきっかけを教えてください。

黒服としてはたらきながら、小学校の同級生で現在のEXIT株式会社の代表でもある新野とよくビジネスのアイデアを出し合っていました。その中で彼がいつも「会社を辞めたいけど辞めづらい」と愚痴をこぼしていたんです。彼の悩みは自分にはまったく理解できなかったんですが、ほかに特別なアイデアもなかったので、「面白そうだし試しにやってみるか」という軽い気持ちで退職代行サービスを始めました。

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――岡崎さんらしい動機ですね。前例のないサービスを始めるに当たって、ビジネスとして成り立つのか、法的に問題ないのか、といった不安はありませんでしたか?

それもありませんでしたね。「会社なんて本人が行かなければ最終的には辞められるだろう」と簡単に考えていたんですが、実際に法律を確認すると労働者の立場は圧倒的に有利。ただし本人の代わりに交渉するのは弁護士の独占業務だと分かったので、「契約の話や交渉はせず、依頼者が会社に行けないことだけ伝える」という方法で始めることにしました。

それに、ビジネスとしてのリスクも低かったんです。最初はGoogle広告に月数万円かけただけで、仮に失敗しても失うのはわずかな時間と労力、それに数万円程度です。当時は歌舞伎町ではたらきながらの副業だったので、生活に困ることもありませんでした。

――最初の依頼が来たときはどんな心境でしたか?

うれしかったですし、率直に驚きました。自分でも呆れるほど未熟なサイトでしたし、料金設定も5〜10万円(※)と大きく幅があったし、振込先口座は会社名義ではなく個人名義。それでも依頼してくださる方がいて、世の中には実際に退職で困っている人がいるんだと実感しました。

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(※)現在は2万円で退職代行を請け負っているそう

ただ、実際に業務を始めるとなかなか大変で。まずは依頼者の退職先に退職代行というサービス自体を理解してもらうのに苦労しました。ほかにも、企業側に自分の身元を信用してもらうために、運転免許証のコピーを送っていましたね。

――すぐに事業として成り立つようになったのでしょうか?

いえ、そんなことはありません。開始から3カ月間の依頼数は月に1〜2件程度で、決してこれだけで生計を立てられるような状況ではありませんでした。そんな中、2018年7月にXで「出社せずに辞められるなんてすごすぎる」と、急に「退職代行」がバズり始めて。その結果、依頼が爆発的に増え、すぐにスタッフを雇わざるを得ない状況になったんです。こうしてEXIT株式会社が生まれました。

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