右肩インピンジメント症候群で5月から戦列を離れていた佐々木朗希が、ついにドジャースの1軍に戻ってきた。ロバーツ監督は「中継ぎとして起用する。どんな役割になるかはまだ分からない」とコメント。チームのブルペン再建に向け、若き剛腕を送り込む決断を下した。
5月9日のダイヤモンドバックス戦で異変を訴えた佐々木は、リハビリを経て8月14日から3Aで実戦復帰。先発5試合、救援2試合で防御率6.10と安定感には欠けたが、ストレートは平均96.4マイル(約155キロ)、最速98.8マイル(約159キロ)を計測。球速面では確実に回復基調を示している。結果だけを見れば物足りないが、ポストシーズンを見据えるドジャースにとって新たな戦力として計算に入れたい存在だ。
そんななか迎えた23日(日本時間24日)の敵地アリゾナでのダイアモンドバックス戦では、大谷翔平が「1番・投手兼DH」で登板。6回を投げ無失点、8奪三振と力投し、勝ち投手の権利を手にした。しかし9回に守護神スコットがサヨナラ打を浴び、チームは4-5で敗戦。エースの快投を生かせなかったことで、ブルペンの脆さが改めて浮き彫りになった。ファンの視線はますます「佐々木の役割」に注がれる。
だが当の本人は複雑な胸中をのぞかせる。リハビリ登板をするなか、リリーフでの起用について「日本でも一度もやったことがないので、ぶっつけ本番でできるかは分からない」と吐露。来季以降は先発ローテーションの一角として期待されているが、今季に関しては「投げないよりはいい」という妥協の形で救援起用を受け入れたようだ。
一方で対照的なのがカーショーだ。今季限りでの引退を表明した大ベテランにもかかわらず、「チームが必要なら」とブルペン待機を自ら志願。通算400試合以上の登板のほとんどを先発として積み重ねてきたレジェンド左腕が、最後の最後に役割変更を申し出る姿勢はファンの胸を打った。ロバーツ監督も「適材適所で選手を使う」とその意欲を歓迎している。
レジェンドが自らブルペン入りを申し出る一方で、佐々木はあくまで先発へのこだわりを崩さない。そのコントラストは際立ち、短期決戦を前にした現状では「わがまま」と映りかねない。求められているのは結果、そして覚悟ではないか。
ドジャースにとってブルペン再建は最優先課題である。大谷の快投も、カーショーの献身も、最後に勝利へつながらなければ意味がない。佐々木が与えられた役割に全力で応えられるか。その答えが、チームの命運を大きく左右する。
(ケン高田)

