車体、パワーユニット共に大幅に刷新される2026年シーズンに向け、F1は新たなレンダリング画像を公開するなど、次世代マシンの輪郭が徐々に見えつつある。そんな中、今夏から密かに話題となっているのが、「次世代マシンは最高速度が400km/hに達するのではないか」という説だ。
これは今年8月、メルセデスのトト・ウルフ代表が示唆したことが発端となっている。
F1は2026年から新しい技術レギュレーションに移行する。パワーユニットは、エンジン出力と電動出力の比率がほぼ50:50となり、マシンはダウンフォースが減る一方でドラッグ(空気抵抗)も減少。さらにアクティブエアロが採用されることにより、直線走行時は「ストレートモード」に入ってウイングのフラップが傾むことでさらなるドラッグ低減をもたらす。こういった要素から、ストレートスピードを飛躍的に高めることが可能と見られている。
それでも400km/hという数字には懐疑的な声が多かった。これについてウルフ代表はF1公式ポッドキャスト番組『Beyond The Grid podcast』に出演して以下のように補足。理論上は400km/h到達が可能だが、そうなると次の直線区間で遅くなってしまうと話した。
「私はあのエンジンについて少しマーケティング的な後押しが必要だと感じていた。人々は過小評価していたが、本当に素晴らしいユニットなんだ」とウルフは言う。
「すべてをうまく組み合わせれば、400km/h、あるいはそれ以上を出せるかもしれないが、そこでエネルギーを使い切ることになってしまい、次のストレートでは速くなくなってしまう」
また、同じく番組に出演したメルセデス・ハイパフォーマンス・パワートレインズのマネージングディレクター、ハイウェル・トーマスは、新型パワーユニットについてさらに詳しく説明した。トーマス曰く、次世代マシンはストレート序盤では現行マシンより速くなるものの、エネルギーマネジメントの必要性が最高速の伸びを制限するという。
「ストレートの立ち上がりに関しては、現在と非常によく似た感じになると思う。ターボチャージャーには電動系の機構(MGU-H)が付かなくなるので、ターボラグが発生する可能性がある。それを電動パワーで補うことになるだろう」
「でもストレート序盤の加速性能という点では、今のマシンと比べても、圧倒的なモノになるだろうね。ただし、電気エネルギーを常時使い続けるだけの余裕がないため、ストレートの途中からは早めに出力を抑えざるを得ないことも分かっている」

