【事故の後遺症と真実への第一歩】
亜子はニュージーランドでの交通事故の後遺症で複視(物が二重に見える)になっていました。彼女は手術を選び、入院することになりますが、このとき恵(涼)には出張と嘘をつくんですよ。
いつも「けいちゃん」と言って彼を頼っていたのに。そして入院中に「恵は涼のなりすまし」だと気づいた人物が亜子に会いに来ます。これが決定打となり、ふたりの関係は大きく変化していくのです。
【愛ある嘘が形を変えて物語の中で展開】
嘘という言葉はあまりいい響きではないけれど、本作で涼が亜子に対してつく「自分は恵である」という嘘は、決して相手を欺くための嘘ではなく、相手を思うあまりついた嘘。そして、やさしい嘘は切ないんだな……と思いました。
そして後半に明かされる嘘は、亜子と恵が出会った学生時代に遡ります。個人的にはここがいちばん驚きましたね。そんな真実があったとは!
嘘をついたことから生まれる涼と亜子の葛藤もあるけれど、それらを経て彼らが悲しみや苦しみからの立ち直っていく姿も描いているのでじんわり感動できました。

