スキー場経営に対する考え方とビジョン

ーー若い頃に起業をされていて、これまでの経験や知見も多く生かされていくのだと思いますが、スキー場経営についてどんなお考えがありますか?
スキー場に限らずですけど、「経営」と「運営」は別だと僕は思っています。
ほとんどのスキー場、ほとんどの会社は「運営」はされていると思うんですけど、「経営」をされているかどうかはまた別なんですね。その経営には当然経営ノウハウもそうですけど資本もなければできないですし、マネジメントのチームもいないとできないこと。
戸狩温泉スキー場で言ってみると、10年前の民事再生の時に助けてくれたところはありますけど、資本を注入してくれなかったので、前社長を含めて経営陣は多分やりたかったことがあっても何もできなかったと思うんですね。
今回、そうではない方向に戸狩を持っていこうとは最初から決めていました。
予算をかけずに何とかやっていく、では多分変われないので、これは「えいやー!」で予算はもう自分の中で落とそうって決めました。最初は、長野だから社長を雇うことも考えましたが、それでは僕の考えているものが実行できないので自分でやろうと思いました。
ーー素晴らしいですね。様々な改革計画や課題があると思いますが、大きなビジョンを教えてください。
大きなビジョンで言ったら「この街に人を呼ぶ」ということですね。完全に人のトラフィックの分母が少なすぎるので、何をやるにもビジネスとしてのプラットフォームが成り立たないと思うんですよ。
レストランも冬季しかやっていないので、そうすると当然ですけど人が流れてくる理由がない。僕らはスキー場というプラットフォームをベースに作り上げていかないと、街自体が繁栄することはないかなと思っています。それが一番最初にやることで、まず飲食を充実させようと、3つの飲食を東京から持ってくるということに踏み切りました。
大きく変わる飲食店とコース

ーー3つの飲食店、具体的にお聞かせください。
これまでの「星降るレストラン」には「焼肉ジャンボ」が入ります。ランチは定食や牛丼、ハンバーグなどで、夜は焼き肉。通年営業になります。
メインの食堂「レストハウスとがり」は、KALDIなどを運営するキャメル珈琲の子会社「キャメルキッチン」が運営します。こちらは今シーズンは内外装のリニューアルのみで、メニューは来シーズンから変わります。
もうひとつは、「暁の湯」施設内にラーメン店「中華そばhajime」が通年営業で入ります。表参道で人気のつけ麺が有名なお店です。それとこれはオリジナルですが、山頂にカフェを建設中です。
ーー通年営業に山頂にカフェ! ありがたいですね! ゲレンデはどう変わりますか?
一番下のこれまでの五本松コースが「ドラゴンパーク」として本格パークに生まれ変わります。15mくらいの大きなキッカーやジブアイテムを作ります。それとコブが連なるダイナミックコースが、「スパイクライン」と名前を変えて日本最長300mのモーグルコースとなります。これまで2レーンだったモーグルコースが4レーンに増え、半分は選手用、半分は一般開放となります。


ーー4レーン! すごいですね。モーグルチームの皆さんで作るということですか?
これまでは僕もさんざん一緒にコース作りをしてきましたが、シーズン通して管理する人を雇いました。そしてその隣の旧イモハコースは圧雪が人気ですが、午後になると荒れてきてしまうので、日中も圧雪を最低1回は入れる予定です。ここはとにかくカービングを楽しめるゲレンデにしようと思っています。

ーーコース名も全部変わるんですね。
そうなんです。スキー場のロゴなどもそうなんですが、ドラゴンの「龍」をイメージしています。
僕、辰年で龍が好きなんですよ。息子の名前にも龍の字が付きます。上り龍のように、みんなで戸狩と一緒に人生上がっていこう、という想いがあります。

