戸狩の未来を担う会員制ゲレンデ構想
ーー休止中のオリオンゲレンデはどうなりますか?
こちらはかなり変わりますよ。再開して、「THE CLUB TOGARI」という会員制のスキーリゾートになります。
会員権の販売と共にゲレンデのベースにヴィラを建設して会員へ販売、プライベートゲレンデを自分のゲストと一緒に滑れるとともに、会員専用のクラブハウスを利用できたり、オリジナルグッズも作る予定です。今シーズンから販売を開始し、来季から始動します。

ーー会員権はおいくらなのですか?
第1期の販売価格は2040万円の予定です。これは工事が始まる前の価格ですので、変動してゆく可能性はあります。
僕が実際行っているビジネスで、千葉の会員制サーキットでも同じように会員権を販売しているのですが、1800万円で売り出して、いまは5000万円ほどになっています。
ーーサーキットで会員権を買う方って日本人なんですか?
日本人が7割です。「THE CLUB TOGARI」でも日本人が6割以上ではと見込んでいます。
スキー場としては正直な話、これをやらないと100%潰れると思っています。いまスキー場でリフトを動かしてリフト券を売ってゲレ食出して、というビジネススタイルはどうやっても儲からないんですよね。
では生き残るために何のビジネスをやるか、と考えた時に、この中核事業が僕はオリオン側の開発だと思っていて、これができないのだったら、この街に将来はないと思います。
これ、明確です。これ以外はないです。
ーーなるほど、そのくらいダイナミックに改革しないと残せないという現実ですね。プライベートゲレンデ、日本のスキー場ではまずないですね。
日本というか、アジアもないですね。アメリカに3つぐらいプライベートのクラブはありますけど、プライベートゲレンデというのは世界中見ても稀です。
戸狩は北陸新幹線・飯山駅から20分ほどで、このエリアのハブになるじゃないですか。さすがに会員権を購入してもらって、オリオン側だけ滑って終わりでは味気ないので、戸狩に泊まって、野沢温泉や斑尾高原などに近隣スキー場にも出かけるベースになればいいかな。

さらに大きい構想でいくと、オリオン側の開発から始まって、そこから「とんだいら」(今季より「スカイドラゴンフィールド」に名称変更)までゴンドラを架けられたらとも思っています。
ゴンドラを架けられれば、合計1ヶ月は長く営業できるんですよね。ただ、いまゴンドラ1本の建設で50億ぐらいするので、それはさっきも言ったようにスキー場営業だけでは絶対ペイしないんです。その辺りの開発の見込みができれば、ゴンドラを架けたいですね。

インバウンド対策と若者へのアプローチ
ーーいま、北信エリアでもインバウンド向けの対策を進めるスキー場が増えていますが、インバウンドについてはどうお考えですか?
僕はあまりインバウンドに頼りたくないタイプで。現状で戸狩のインバウンド率って1%にも満たないんですね。
だから伸びしろで言ったら非常に可能性あるんですが、必ずしもそこは追っていません。やっぱり戸狩は安さも含めて行きやすいという理由で多くの人に支えられてきたと思うので、そこを崩すつもりは全くないんです。
メインのゲレンデは改革しつつもベースは変えずに、逆にオリオン側を会員制にすることで高級志向に振ってもいいのかなと思っています。
インバウンドだから必ずしもお金を落とすというわけではなくて、外国人でもリフト券をズルしたり、夕食をコンビニで済ませる人もいます。
だったらマナーのいいアジア圏の富裕層をターゲットにした方が街としても崩れることがないので、僕はいいかなと思っています。
ーー逆にいま、戸狩にはバスツアーで来るような若い客層も多いですが、そのあたりはどうお考えですか?
僕ね、その人たちは大事だと思っています。
安い単価のお客さんを取り過ぎだって叩かれている戸狩も知っているんですけど、僕はそういう人たちあっての戸狩だと思っています。むしろ若い人やビギナーがもっとレンタルをスムーズに行えるようにリニューアルしていきたいと思って、新しいレンタルセットも300セットくらい買いました。
ーー素晴らしいですね、ゆくゆくはその若者たちが大人になってまた来てくれるという、大事なターゲットですよね。
もうちょっと日帰り客を大事にしたいんですよ。
ここは民宿ベースのスキー場なので意外と知られていないんですが、実はすごいアクセスがいい。
東京駅を朝7時52分の新幹線に乗って、9時43分に飯山駅に着いて、1日滑って、温泉入って、焼肉ジャンボ食べて、19時28分の新幹線に乗れば21時16分には東京駅に帰れてしまうんですね。たっぷり遊んだでしょっていう、そっちも売っていきたいですね。
