多くの人は、人工知能(AI)の進歩は人類の衰退に繋がると捉え、いつかAIが人間を完全に置き換わるのではないかと懸念している。まるでSF映画のように……。逆に人間が使われる側になる日も、いつか訪れるのかもしれない。考えるだけで恐ろしくもある。
では、F1はどうだろうか?
データが溢れる現在のF1において、テクノロジーはますます重要なレベルに達しているが……果たしてAIはどの程度まで達しているのだろうか?
天才的なF1カーデザイナーであり、2026年にはアストンマーティンのチーム代表に就任するエイドリアン・ニューウェイは最近、AIツールについて語り、それがいかに重要であろうとも、このカテゴリーにおける技術の天才たちに取って代わるものではないと明言した。
「これらのツールはより深い洞察と理解を可能にするが、あくまでツールに過ぎない」と彼は説明した。
「アイデアを考案し、それらのツールを最大限に活用するには、依然として人間が必要だ。AIがこれほど急速に進歩しているとはいえ、まだ程遠い。それは人間のアイデアに大きく依存しており、それがまさにF1の本質なのだ」
また自律運転車両によって競われるアブダビ自律走行レーシングリーグ(A2RL)を見て分かるように、技術の進歩は目覚ましいものの、AIのドライビングはまだ人間の領域には達していない。
ニューウェイはセンサーがデータを供給する現代においても、ドライバーは重要だと強調した。
「私がキャリアをスタートした頃は、オンボードデータレコーダーもテレメトリーも存在しなかった。ドライバーの入力が絶対的に重要だった。データ時代に入った今、マシンの挙動については多くを学べる。だが結局のところ、マシンがそう動く理由は往々にしてドライバーにある」
「ドライバーは驚くほど直感的な存在であり、今もなお絶対的に重要な役割を担っている」
実際、チームがマシン開発を行なうシミュレーターおいても、セッティング作業にはドライバー(通常はシミュレータ担当ドライバーが行なう)が必要だ。
「なぜ純粋なオフラインシミュレーションではなく、そこにドライバーが必要なのか? それは、我々の誰も十分な精度を持つドライバーモデルを作成できていないからだ」とニューウェイは答える。
そして彼は、この技術とデータの時代におけるドライバーの貢献を要約する言葉を残した。
「ドライバーの役割は、これまでと同様に重要だ。むしろこれまで以上に重要かもしれない」

