「全員がやっている」とまでは言えないが、メジャーリーグの投手は12月中にトレーニングを始めるそうだ。この時点では「シーズンを戦い抜くための筋トレ、体力作り」がメインで、1月に入ってから投球練習の割合を増やしていく。2月中旬のキャンプインに向けて、徐々にペースを上げるのだ。
来年3月開催のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に対し、メジャーリーグ各球団オーナーや編成トップが選手派遣に難色を示すのは「ケガのリスク」があるためだ。これについて詳しく聞いてみると、「12月のトレーニング開始」にも原因があるようだった。
「12月の1カ月間、ゆっくりと時間をかけて体力作りをします。投手の場合、WBCに出場するとなれば、3月下旬のペナントレース開幕戦ではなく、3月上旬に全力投球できるようにしなければなりません。そうなると、基礎体力を作る期間を短くする必要が出てきます」(メジャーリーグ特派記者)
シーズンを戦い抜くための基礎体力作り、その1カ月間が短縮されることを前提とした構想を描くことになる。ドジャースが来季も「先発6人制」と、大谷翔平の二刀流に関する起用法を決めた。ドジャースを専門に扱う米メディア「ドジャーブルー」には「来季の投手・大谷の登板間隔は、今シーズンと変わらない」とあった。
「編成トップであるゴームズGMのコメントが掲載されていました。『大谷と話をするのはこれからだが』と前置きしてから『今季よりも通常の登板間隔に近づくが、流動的な部分はある。我々は大きな青写真の中で、全てを考えるつもりだ』と答えていました」(前出・特派記者)
「ドジャーブルー」はこのGM発言を受けて、通常の先発投手の登板間隔である中4日か中5日では投げてこない、と予想している。
ゴームズGMの言う「大きな青写真」は、ポストシーズンマッチを指す。つまり投手・大谷は10月に絶好調になればいい、という考えだ。
「同じくWBC出場を熱望する山本由伸も登板間隔を広げ、シーズン前半戦は長いイニングを投げさせないプランでしょう」(前出・特派記者)
来年3月のWBCは、ネットフリックスによる独占放送となる。地上波では録画放送もされないことが発表された。大谷、山本の登板間隔が広がり、長いイニングを投げさせないとなれば、自動的に2人の活躍を見る機会は激減することになる。
「地上波ナシの状況に、各方面に苦情が殺到しています」(スポーツ紙記者)
10月に照準を合わせて大谷、山本を起用するドジャースにも「もっと見せろ」のブーイングが浴びせられそうだ。
(飯山満/スポーツライター)

