現地時間12月17日に行なわれたスコティッシュ・プレミアシップ第11節、セルティックはダンディー・ユナイテッドに1-2で敗れて、泥沼の4連敗を喫している。
ウィルフリード・ナンシー新監督を迎えてから全ての公式戦を落としていたスコットランドの盟主は、13分に前田大然が見事な切り返しから左足で先制点を奪うも、その後幾度か訪れた得点機を逃してしまう。58分、61分と立て続けに守備の混乱から失点を喫して逆転を許すと、最後まで挽回できないまま、サポーターからのブーイングを浴びながらタイムアップの笛を聞いた。
ダンディー・U相手には2014年以来の敗北、そして4連敗は47年ぶりという、歴史的な大失態を演じたこの一戦を、スコットランドの日刊紙『DAILY RECORD』は、「セルティックは完全な危機モードへと突入した。ダンディー・Uが、燻り続けるパークヘッドの火薬庫に、最新のガソリンを注ぎ込んだからだ。後半、クリスティアン・ケレステスとザック・サプスフォードのゴールが前田の先制点を打ち消し、ナンシー監督にとっての初勝利に向かっているように見えた試合は、4連敗という結果へと変わった」と伝えている。
そして、見事な先制ゴールや左サイドからの突破を披露した一方で、後半に同点弾となるべきヘディングシュートをゴールポストに当ててしまった前田に対しては、「左サイドに戻ったことで、はるかに本来の姿に近づいた。3回の突破は、ゴール前で味方が決定力を欠かなければ、いずれも得点に繋がっていたはずだ」とポジティブに評した一方で、「ところが、なぜか後半に入ると完全に試合から消えてしまった。好不調が激しく入れ替わるそのパフォーマンスは、まさに今のセルティックの状態そのものを象徴していた」と指摘した。
一方、試合前に「尻に火がついている」と自ら認めていたフランス人指揮官について、同メディアは「今はもはや完全な“大火災”だ。遠征してきたサポーターのチャントが示す通り、ナンシー監督は今や完全に標的にされている。『誰に対しても証明するものはない』と語ったことも、自らの首を絞めた。世論裁判は全く異なる見方をしており、その発言は次第に傲慢に映り始めている」と、さらなる窮地に立たされたことを強調している。
『THE SCOTSMAN』紙は、就任後4連敗という悪い意味でクラブの歴史を塗り替えたナンシー監督に「就任からわずか14日で連敗数が4に達し、スタンドから怒号と罵声混じりのチャントが雨のように降り注ぐ中、死刑囚のような虚ろな『千ヤードの凝視』を浮かべていたフランス人に、同情を禁じ得なかった」と綴った。
続けて、「セルティックがこれほどのどん底に沈んだのは、名将ジョック・スタインが最後に指揮を執った1978年以来のことだ。そして、日曜のアバディーン戦で再び敗れれば、1947年に12位でシーズンを終えた際のクラブ史上最長となる5連敗という不名誉な記録の再現が現実のものとなる」と紹介し、「アバディーン戦で勝利を掴み、時間を稼ぎ、冬の移籍市場が上手くいけば、彼とセルティックは、もしかするとこの救いようがない状況から立て直せるかもしれない。必要なのは、クリスマスの奇跡かもしれない」と報じた。
同メディアはまた、「セルティックが今後、どこへ向かうのかはまだ分からない。ファンの忍耐は限界に達しており、取締役会や監督に対する抗議は、チームの低迷が続く限り、さらに激化する可能性が高い。彼らの一部は、暴行、虐待、スタッフへの脅迫といった疑惑が出るほど、怒りを行き過ぎた形で表わしている」とも伝えたが、すでにダンディー・U戦の数時間前にはクラブ首脳陣のひとりが辞任を表明するという事態が引き起こされている。
CEOとして18年間、会長として3年間をセルティックで過ごしてきたピーター・リーウェル氏が「一部の人々からの耐えがたい誹謗中傷や脅迫が、家族を落胆させ、不安にさせた」として今月末日での退任を発表したのだ。
これを受けて「セルティックにとって悲しい日」と語ったマイケル・ニコルソンCEOは、またスコティッシュ・リーグカップ決勝(対セント・ミレン)に敗れた後には、クラブスタッフ3人が暴行を受けたことを明かし、「サポーターやセルティック・ファミリーの価値観とは相いれないものだ。全く以て受け入れられない」との声明を発している(日刊紙『The Guardian』より)。
事態の鎮静化を図りたいクラブ首脳陣だが、ニコルソンCEOはナンシー監督に対して「クラブ取締役会の支持は絶対的に揺るぎない」と、大多数のファンの希望に反する意思を表明しているだけに、今後もセルティックを覆う緊張状態は継続されると思われる。
構成●THE DIGEST編集部
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