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自信満々のズレ(ダニング=クルーガー効果)は、わりと遺伝するようだ

自信満々のズレ(ダニング=クルーガー効果)は、わりと遺伝するようだ

Credit:Canva

アメリカのシンシナティ大学(UC)などの研究者による研究によって、ダニング=クルーガー効果でも重要な自己評価と実際の知能の点数のズレには、遺伝要因の影響が意外に強く関わっている可能性が示されました。

研究では双子920人が調べられており、個人の自己評価と客観点数のズレのばらつき(個人差)のうち約44%が遺伝的要因で説明できる可能性があると述べられています。

もし能力(才能)そのものに加えて、ダニング=クルーガー効果でよく注目される自己評価と実際の点数の間のズレという要因までもが遺伝の大きな影響を受けているなら「自信も遺伝」と言えるのでしょうか?

研究内容の詳細は『Intelligence』にてオンライン公開されました。

目次

  • ダニング=クルーガー効果が語る「自信のズレ」
  • ダニング=クルーガー効果の「自信のズレ」は44%が遺伝のようだ
  • 自信のズレは遺伝子の影?

ダニング=クルーガー効果が語る「自信のズレ」

知能とダニング=クルーガー効果
知能とダニング=クルーガー効果 / 今回の研究でも、中央の0を挟んで、低IQ群は右側(過大評価)にあり高IQ群は左側(過小評価)によっていることがわかります。/Credit:Heritability of metacognitive judgement of intelligence: A twin study on the Dunning-Kruger effect

有能なのに自分に自信が持てない人もいれば、まだ経験が浅いのになぜか自信満々に見える人もいます。

心理学では、こうした「自分の能力の自己採点」と「実際の能力」のズレをめぐる代表的な考え方として、ダニング=クルーガー効果(Dunning-Kruger effect)がよく挙げられます。

能力や知識が低い側ほど自分の出来を実力以上に見積もりやすく、その背景には「そもそも出来ないこと」だけでなく「自分が何を分かっていないかに気づきにくい」という二重の不利がある、と説明されます。

一方、能力が高い人は「周りの人も同じくらい出来るはず」と考えて相対的な位置づけを低めに見積もる場合があるとされています。

実際、ダニング=クルーガー効果が確認された場合は、おおむね「下位は上に大きく外れやすく、上位は下に大きく外れやすい」という“方向”が現れます。

これにより「低実力の人が点数を高めに多く間違いやすく、高実力の人が低めに多く間違いやすいのだから、それらは過剰評価と過小評価なのでは?」という解釈が成り立ちます。

では、この“自信のズレ”はいったい何によって生じているのでしょうか?

多くの人は、こうした自己評価のクセは教育や経験など後天的な影響で培われるものだと考えるでしょう。

しかしもし生まれつき「自信過剰になりやすい」「逆に自信を持ちにくい」気質が遺伝で左右されているとしたら…?

そこで今回、研究者たちは双子を対象にこの謎に切り込み、「自分の知能に対する自信のクセ」に遺伝要因がどの程度関与しているのかを確かめることにしました。

果たして能力だけでなく、こうした「自信のズレ」の個人差にも生まれつきの影があるのでしょうか?

ダニング=クルーガー効果の「自信のズレ」は44%が遺伝のようだ

ダニング=クルーガー効果の「自信のズレ」は44%が遺伝のようだ
ダニング=クルーガー効果の「自信のズレ」は44%が遺伝のようだ / Credit:Canva

まず研究チームは、米国の大規模縦断調査データから双子920人分(一卵性双生児388人、二卵性双生児532人)を抽出しました。

一卵性双生児は遺伝情報を100%共有し、二卵性双生児は平均して50%程度共有するため、両者を比較すれば形質に対する遺伝と環境の影響を推定できます。

参加者それぞれに「自分は同年代の中でどれくらい賢いか?」といった質問で自らの知能スコアを自己申告してもらい、続いて客観的なテストによって知能指標を測定しました。

結果、今回の研究でも、平均的に低IQ群は自己評価が実測より高め(過大評価)に寄り、高IQ群は低め(過小評価)に寄る傾向が見られました。

問題はここからです。

一卵性双生児と二卵性双生児の分析から自己評価と実際の点数のズレ(ばらつき)について、遺伝子がどれほど影響しているかが調べられたところ約43〜44%が、遺伝的要因で説明できると推定されました。

この結果は、ダニング=クルーガー効果でよく注目される指標である自己評価と実際の点数の差が、遺伝的要因の影響も受けている可能性を示しています。

DKE(ダニング=クルーガー効果)の効果量
DKE(ダニング=クルーガー効果)の効果量 / 図 は横軸が Objective IQ(客観IQ)、縦軸が 「LOESS(局所平滑化)で予測した値 − 線形回帰で予測した値」という“予測値同士の差”で、著者はこれを 「効果の大きさ(magnitude)」としてプロットしています。形としては、低IQ側でプラスが大きく、いったん0付近〜マイナス側へ沈み、その後また高IQ側でプラス側へ戻るようなカーブになります。平均としては平均的に低IQ群は自己評価が実測より高め(過大評価)に寄り、高IQ群は低め(過小評価)によりますが、高IQの右側では過大評価が現れるという興味深い結果が得られています。/Credit:Heritability of metacognitive judgement of intelligence: A twin study on the Dunning-Kruger effect

平たく言えば、知能(頭の良さ)という「エンジン」が遺伝によって影響される部分があるように、「自分はどれくらいできるのか」という感覚=心の中の「スピードメーター」の値も、ある程度は生まれつき左右されるのかもしれません。

さらに興味深いことに、遺伝の影響の出方は知能水準によって異なることも分かりました。

IQが低いグループでは、遺伝の影響が占める割合は約31%程度でしたが、最もIQが高いグループではその割合が約75%にも跳ね上がったのです。

ここでいう「31%」や「75%」という数字は、「自信のズレがどれくらい大きいか」ではなく、ズレの中で遺伝的要因の影響が占める割合です。

つまり、知能が高い人たちのあいだでは、「自分の実力をどう感じるか」という感覚のばらつき(個人差)のうち、遺伝的要因で説明される割合がとても大きかったわけです。

配信元: ナゾロジー

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