フィギュアスケートの全日本選手権が12月19日、東京・代々木第一体育館で開幕した。来年2月開催のミラノ・コルティナ五輪代表の最終選考会は男子ショートが行なわれ、大会連覇を狙う鍵山優真が104.27点で首位発進した。2位には初の五輪代表を狙う三浦佳生がつけ、3枠を争う代表切符を視界に捉えた。
気迫のこもった表情でやり切った。三浦は冒頭の4回転サルコウ+3回転トウループのコンビネーションを完璧に着氷。出来栄え点(GOE)は3.46点と高い加点が付き、続くトリプルアクセルも難なく降りた。後半に組み込んだ単発の4回転トウループもマイナス評価はなし。スピンの取りこぼしはあったものの、最後まで三浦らしい疾走感ある滑りで駆け抜けた。
曲が終わった瞬間、三浦は何度も拳を握りガッツポーズを出した。今季はグランプリシリーズで苦しい演技が続いていた20歳のスケーターは観衆からの大声援を浴び、100点に迫る高得点を確認すると、キスアンドクライで涙がこみ上げた。
万雷の拍手を浴びた後、三浦は「いい形で終われて、ホッとした。負けない気持ちで自分に集中しながらできて良かった」と振り返った。
実は演技をする直前までは「本当に怖かった」と本音をこぼす。そこで気を紛らわすため手にしたゲーム『太鼓の達人』でリラックス。「自分の世界に入れた。フルコンボできるまでやっていました」と笑い、精神を整えてから氷上へ。五輪代表がかかる大一番で見事に結果を出した。
日本代表争いは現状グランプリファイナル2位の鍵山、3位の佐藤が一歩リード。三浦自身は五輪3枠目を争う立場だ。ライバルと目される友野一希に7.60点差をつけているが、油断はできない。三浦は「この喜びは1時間くらいで忘れて、スイッチを切り替えたい」と冷静に話す。自ら「鬼門」だと表現するフリーに向けて「自分に集中した演技を見せたい」と強く意気込んだ。
鬼門を克服したとき、若武者のミラノ・コルティナ五輪への道は開ける。
▼全日本フィギュアスケート選手権 男子ショート結果(上位6人まで)
1位 鍵山優真 104.27点
2位 三浦佳生 95.65点
3位 中田璃士 89.91点
4位 友野一希 88.05点
5位 佐藤 駿 87.99点
6位 山本草太 82.21点
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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