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“小さな紳士”パディントンが世界を魅了する理由 クリスマスらしい“家族”の在り方を描いた感動のシリーズを振り返る

“小さな紳士”パディントンが世界を魅了する理由 クリスマスらしい“家族”の在り方を描いた感動のシリーズを振り返る

映画「パディントン 消えた黄金郷の秘密」
映画「パディントン 消えた黄金郷の秘密」 / (C) 2014-2024 STUDIOCANAL S.A.S. All Rights Reserved.Paddington Bear(TM), Paddington(TM) and PB(TM) are trademarks of Paddington and Company Limited.Artwork (C) 2025 STUDIOCANAL LIMITED.

いよいよクリスマスが近づき、街はきらめくイルミネーションと温かい空気に包まれ始めた。そんな季節にふと思い出すのが、映画「パディントン」シリーズ。“小さな紳士”パディントンと彼を取り巻くブラウン一家の物語は、日本でも熱烈なファンを生み出し続けている。12月24日(水)には「パディントン 消えた黄金郷の秘密」Blu-ray&DVD、「3FILMコレクションDVD」の発売も控えている同作。世界中を優しさで満たすパディントンの愛すべきキャラクター、何度でも見直したくなる映画の魅力を振り返る。

■深く濃いテーマと愛すべきキャラクターたち

映画「パディントン」シリーズが単なる子ども向け映画の枠を超え、世界的なヒットを収めた背景とはなにか。それは作品の根幹を成す普遍的で重いテーマと、問題を優しく包み込む魅力的なキャラクターたちの存在にある。

パディントンは遠いペルーからロンドンにやってきたクマ。海を越えて別大陸にやってきた彼は、つまり「移民」だ。言語こそラジオで勉強してきたパディントンだが、いかんせんクマと人間という大きすぎる壁が高く立ちはだかる。たとえば物語の冒頭、ロンドンに到着したパディントンは道行く人々に声をかけるも無視されてしまう。夜までパディントン駅で途方に暮れる姿は、まさに異文化社会におけるマイノリティの孤立を象徴的に示しているシーンだ。

だが同シリーズは現代社会が抱える異文化間の理解や移民問題といった重いテーマを扱いながら、“温かく”描き出す。駅ですれ違おうとするブラウン一家に、帽子を取って「こんばんは」と語りかけるパディントン。彼の境遇を聞いて「力になるわ」と言ってくれたメアリー・ブラウン(サリー・ホーキンス)に「助かります。ご迷惑では?」と返すやり取りは、互いのキャラクターを良く表している。

異邦人であることを自覚し、礼儀正しくいようとするパディントン。困っている誰かに手を差し伸べてあげたいと思い、実際に行動できるメアリー。2人の小さな善意が、のちに“家族”の姿を大きく変化させていく。

「この問題に対してこうすべきだ」「ここに問題意識を持たないなんて良くない」といった説教臭さは微塵もない。同物語で核心を担うのはあくまでキャラクターたちの善性であり、「移民であること」はあくまでパディントンが持つ属性に過ぎないからだ。パディントンが“ロンドンに来たからには行儀よく、正しいクマであろう”とする姿勢は、みんなの心を開かせた。でも礼儀正しく優しい人が好かれるのは「移民だから」ではないだろう。

■本能的な優しさと不完全なヒーロー像

パディントンというキャラクターは、「英国紳士」としての資質を徹底して貫いている。パディントンは常に敬意を払い、言葉遣いは丁寧。それでも帽子の下には非常用のマーマレードサンドを隠し持っていたり、マナーも完璧ではない。しかし彼の魅力は、そうした完全ではないこと、そしてそれでも努力しようとする姿勢にある。

彼は非常に不器用で、良かれと思ってやったことが大抵はとんでもない騒動を引き起こす。たとえば「パディントン2」では床屋のアルバイトでお客さんの頭を真ん中だけバリカンで刈り上げてしまうし、「パディントン 消えた黄金郷の秘密」でも船の梶を知らずに大回転させて危険なコースにこぎ出してしまった。

こうした不器用さの陰で、その失敗が一生懸命にやるべきことをしようとした結果だったことを観客は知っている。ひたむきで真摯、それでも失敗してしまうパディントンを、誰が責められるだろう。

そしてパディントンは失敗しても諦めず、必ず立ち上がり、再び最善を尽くす。彼の姿は失敗を恐れず、心を込めて行動すれば必ず誰かが理解してくれるという希望を我々に与えてくれる。この不完全でそれでも愛らしい小さな紳士ぶりこそ、彼が世界的に愛される秘訣だ。

■心を揺さぶる感動の瞬間

映画「パディントン」には、数多くの笑いと驚きに満ちたシーンがある。なかでもシリーズの魅力を表すもう一度見たくなる「名シーン」といえば、やはりパディントンを嫌っていたヘンリー・ブラウン(ヒュー・ボネヴィル)が彼に心を開くひと幕は外せない。

第一作目「パディントン」の悪役、冒険家の父に対する複雑な思いからパディントンをはく製にしようと付け狙う女・ミリセント。彼女がパディントンを手に入れるべく襲いかかった結果、家はめちゃくちゃな状態に。当初からパディントンを厄介に思っていたヘンリーは、「もう限界だ」と彼をかばう妻に叱責を浴びせる。自分の存在が一家の迷惑になっていると感じたパディントンは、「泊めてくれてありがとう。ステキな一家でした」という手紙を残して、そっとブラウン家を去っていく。

だが、パディントンのいない家は思った以上に寂しかった。妻も子どもたちも元気をなくし、ヘンリー自身もどこか虚ろな表情。壁に描かれた木のイラストから花が散っていく演出は、見事に家族の心情を表していた。

最終的に、パディントンを救うべくミリセントと直接対峙したブラウン一家。そこでは家族のなかで最後まで心を開かなかったヘンリーが最前に立ち、「生まれが地球の裏側だろうが、種族が違おうが、マーマレード癖が悪かろうが、みんなパディントンが好きだ。だから家族なんだ」とパディントンへの思いを打ち明ける。

「家族は離れない!」と続くこの言葉は、血縁によらない「家族」の誕生を宣言する瞬間だ。そしてパディントンが求めていた「家(Home)」が特定の場所ではなく、「彼を無条件に愛する人々がいる場所」であることを明確に示す。シリーズの核心的シーンであり、いつまでも忘れられない名シーンと言えるだろう。

さらに第3作目「パディントン 消えた黄金郷の秘密」では、大切な“仲間”たちの暮らしを見つけたパディントンがある大きな決断をする。物語の鍵になるシーンのため多くは語らないが、“家族”、“故郷”、“居場所”というキーワードを散りばめたパディントンの言葉には言葉に表せないほどの感動があった。

映画「パディントン」シリーズは、不器用な小さなクマの冒険を通じて、私たちに「優しさ」「受容」「家族」といった、人生で最も大切な価値を静かに問いかけてくる。12月24日(水)には最新作「パディントン 消えた黄金郷の秘密」のBlu-ray+DVDセットと、3作全てを収録した「パディントン 3FILMコレクション DVD」が発売。「パディントン 消えた黄金郷の秘密 プレミアムエディション・Blu-ray」では「パディントン・特製クリスマスカード」や「絵本型ブックレット」といった世界観にあった特典も付属している。

クリスマスには温かい毛布にくるまりながら、この小さな紳士の大きな愛に触れてみるのはどうだろうか。その経験はきっと寒い冬でも心を温め、日々の生活に優しさの魔法をかけてくれるに違いない。

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