・まさかのホラー展開
誤解のなきようお断りしておくと、今回乗車したバスは3300円で乗っているのが申し訳なくなるほど快適であり、居心地が悪かったとか、ましてや霊的な何かを感じたとかでは絶対にない。
腰クッションと枕は想像以上にいい仕事をしてくれて、私は乗車早々ウトウトしかけていた。ややあって「水が飲みたい」と欲し、ペットボトルに手を伸ばそうとしたところ……眼球をのぞく体の全部位が動かないことに気づいたのだ。言葉も発せない。
しばらくすると金縛りが解け、またウトウトしかけたら金縛り……というループを何度か繰り返したころ、バスは1度目の休憩地点である静岡のSAに到着。隣席の友人が「めっちゃ暑くない?」と声をかけてきたことで、私は金縛りの原因が “尋常ならざる暑さ” であることを悟ったのだった。
運転手さんにそのことを伝えると「あそこは車内で一番暑い席なんですよ、すみません」と言い、車内温度を下げると約束してくれた。SAで涼んだおかげもあってか金縛りはおさまり、再びウトウトとする私。そして1時間後……
足が痛くて死にそうになった。
・繊細な私と夜行バス
クッションのおかげで腰と首の平和は保たれていたのだが、その代わりに “足の安定の悪さが強く感じられる” という副作用が発生。私は試行錯誤のすえ「フットレストの上にバッグを置く」手法で太ももの位置を上げ、足元を安定させることに成功した。ようやく爆睡なるか?
そして1時間後……
尻が痛くて死にそうになった。
ラスト2時間は尻のことで頭がいっぱいなまま、気づけばバスは目的地であるバスタ新宿に到着。結果的に爆睡とはいかなかった……だがしかし、私の人生の中で最も睡眠に近づいたヤコバ体験であったことは間違いない。
友人が試行錯誤のすえ4種の神器にたどり着いたように、人には人それぞれの “ヤコバを快適に過ごす方法” がある。「次回は尻用のクッションも持ち込もう」……そんなことを考えながら、私は近い将来またヤコバに乗る決意を固めていた。
ヤコバチャレンジは続く……完全爆睡をキメるその日まで。
参考リンク:Amazon「ヨックレスト」「ヨックネール」、楽天市場「ヨックレスト」「ヨックネール」
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
