セ・リーグにおけるDH制導入をめぐって、元巨人で解説者の江川卓氏が自身の見解を示した。高校野球や大学野球といったアマチュアでの採用には賛成する一方、プロ野球については「投手が打席に立つからこそ面白い」と強調し、反対の姿勢を崩さない。
すでにセ・リーグは2027年シーズンからDH制を導入することを正式決定している。国際大会やメジャーリーグに足並みを揃えるかたちで進む大改革だが、江川氏は自身のYouTubeチャンネルで「セとパでルールが違うからこそ日本シリーズは面白かった」と語り、野球の醍醐味が失われることへの懸念を口にした。
動画の中では、他の指導者の意見にも触れている。阪神の岡田彰布オーナー付顧問が「DH制になると監督が楽になりすぎる」と述べた点について、江川氏は「ほぉ、面白い意見ですね」とうなずきながら、「確かにセ・リーグの面白さは駆け引きにあった」と共感を示した。
一方で、中日・井上一樹監督が「投手の系統が楽になる」と歓迎した点には「その見方も理解できる」としつつも、「僕はピッチャーだから。バッティングが好きな人は絶対反対だと思う」と自らの立場を明かしている。多彩な駆け引きや采配の妙が絡み合うところに、野球の真価があるというのが、江川氏の考え方だ。
今回の決定では、これまで慎重な姿勢を見せていた広島やヤクルトの賛成転換も大きなポイントだった。さらに原辰徳前巨人監督が「パ・リーグに比べてセ・リーグは選手層で不利になる」と訴え続けてきたことも議論を後押しし、最終的には「世界基準」に沿う形で導入が固まった。
ファンの声も割れている。「投手の凡打を見せられるより、打撃に特化した選手を見たい」「選手の出場機会が広がるのは歓迎」とポジティブに受け止める層がいる一方、「セ・リーグらしさが失われる」「日本シリーズでの駆け引きが消えてしまう」と、伝統を惜しむ意見も少なくない。江川氏の動画コメント欄にも賛否両論が飛び交い、議論は熱を帯びている。
制度はすでに動き出している。それでも江川氏の言葉が耳に残るのは、プロ野球における野球の楽しみ方に「正解」が存在しないからだ。2027年、セ・リーグはDH制で新しい一歩を踏み出す。野球の楽しみ方がどう変わるのか、それを見届けるのはファンだ。
(ケン高田)

