2025年度(1月~12月)に反響の大きかった大阪・関西万博記事ベスト5をお届けする。第4位は、大阪として55年ぶりの開催となった万博のチケットの転売問題について取材した記事だった(初公開日:2025年1月29日)。
2025年に開催される大阪・関西万博の入場チケットの転売が相次いでいる。チケットは定価割れの価格で取引されており、開催に向けて不穏な空気が漂っている。
定価6700円のチケットが早くも3割引に…
2025年の4月13日から10月13日にかけて、大阪・夢洲にて開催される「2025年日本国際博覧会(略称:大阪・関西万博)」。日本としては、2005年に愛知で開催された「愛・地球博」以来20年ぶり、大阪としては1970年に開催されて以来55年ぶりの開催となる。
“いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに行なわれる今回の万博では、自動翻訳や人と共存するロボット、空飛ぶクルマなど、最先端の技術や社会システムが展示される予定。
さらに、ウォータープラザの水上ショーや会場内の施設や通路を用いたプロジェクションマッピング、イベント広場や催事場など大小さまざまなステージで行なう音楽や芸能などの催事、伝統芸能やポップカルチャーなど、本格的なエンターテインメントを楽しめるようにもなっている。
チケットの種類は多数あり、値段はさまざまだが、前売限定チケットでは、開幕日から2025年4月26日まで1回入場可能なチケットが4000円、開幕日から2025年7月18日まで1回入場可能なチケットが5000円、会期中いつでも1回入場可能なチケットが6700円(価格は税込み、大人値段、以下同)。
また、会期中に購入できるチケットは、通常の一日券が7500円、平日券が6000円、夜間券が3700円となっている。
大手フリーマーケットサイトなどで現在販売されているものを見ると、定価6700円のチケットが、1枚当たり4000円~5000円ほどで取引されている。商品の備考欄には「抽選で当選した」などと説明されているが、企業や団体による購入分の転売ではないかと指摘されている。
ちなみに、万博の公式サイトでは「お客様の権利を保護するため、チケットの不正転売を禁止します」「お客様が2025年日本国際博覧会チケット購入・使用規約に規定する範囲・条件に違反してチケットを第三者に譲渡した場合には、当該チケットは無効となります」などと記載されているが、これらが守られていないのが現状だ。
“定価割れ転売”最大の問題とは…
チケットの“定価割れでの転売”を受けて、SNSでは反響が相次いでいる。
〈これを問題にして本人確認を徹底とかしたら益々入場者が減るでしょう〉
〈関西人ですが予想通りですね。そのうち無料券も福引や抽選イベントなどで出回ると言ってきたが、そのような雰囲気ですね〉
〈いきなり定価割れで転売というあたりマーケットは正直だなと思います〉
〈捌ききれないほどのチケットを過剰に渡し、チケットは順調に消化されていると評価している運営側がよっぽど問題である〉
この現状は、万博にどのような影響をもたらすのだろうか。企業や団体のマーケティング戦略などを研究している文京学院大学経営学部の濵田俊也教授に聞いた。
「不正転売によって2025年日本国際博覧会が被る悪影響については、言い尽くせないほど多数あるとは思いますが、特に私が問題だと考えるのは正規の販売チャネルを壊している点です。
チケット販売は事業主体以外にもシステム運営者や配送担当など多数のステイクホルダーが関わっており、正常な販売を前提として複雑に構築された仕組みがあります。『自分だけ』『一回だけ』という不正がチケット販売に関わる団体・企業の関係を壊し、関係者の努力を無にすることにつながってしまいます。
国や自治体、企業がそれぞれのリソースを持ち寄って大規模に行なわれる2025年日本国際博覧会だけに、回り回って不正転売者や不正購入者自身にも悪影響が及ぶ可能性もあります」(濵田教授、以下同)
また、チケットを今の段階で手放して転売していることは、その人にとっても“損”になっているのではないかと濵田教授は指摘する。
「今チケットを手放すことは、将来チケット価額相当か価額以上の満足が得られる価値のあるものを、現時点で得られる程度の低い金額に換えてしまっているといえるのではないでしょうか。
すぐ手に入る報酬ほど価値が大きいと感じ、手に入る時間が遅くなると価値をだんだん小さく感じることは『時間選好』とよばれ、行動経済学やマーケティング論、消費者行動論などさまざまな学術領域で研究されています」

