テニス界に衝撃を与えている男子テニス世界ランキング1位のカルロス・アルカラス(スペイン/22歳)とホアン・カルロス・フェレーロ氏(スペイン/45歳)の突然のコーチ契約解消。かつてラファエル・ナダル(スペイン/元1位)を世界王者に導いた名将トニ・ナダル氏(64歳)も、比類なき成功を収めてきた両者の決別にはショックを受けたという。
トニ氏は先日母国スペインのラジオ番組『El Larguero』に出演し、次のようにコメントした。「今回のニュースには驚いた。個人的にはまだ一緒に続けてほしかったが、今は以前よりも選手の発言力がはるかに大きくなっているのも事実だ」
アルカラスとフェレーロ氏の決別は、既報の通り「契約交渉上の行き違い」によるものとされており、アルカラスの父親とフェレーロ氏の関係悪化も理由の1つだと報じられている。トニ氏も今季アルカラスが四大大会2勝を含むツアー8勝、さらには年間ランキング1位という素晴らしい成績を残したことを考えれば、「テニスの面ではなく、契約上、あるいは個人的な問題が原因だろう」との見解を示す。
トニ氏は、コート上でのフェレーロ氏の仕事ぶりを糾弾することはほとんどなかったが、以前「Netflix」のドキュメンタリー番組で話題となった、アルカラスの私生活を巡る管理の在り方については、やや批判的な姿勢をのぞかせた。具体的には、アルカラスの外出頻度や、フェレーロ氏が状況に応じてそれを制限するよう促していた点に言及し、それが自身とナダルの時とは違っていたのではないかと語った。
「フェレーロがそうしていたかどうかはわからないが、私はラファに対しては、18歳を過ぎた頃からやりたいようにやらせていたし、外出についても彼自身の問題だと伝えていた。私はコート上で彼を助けるだけで、コート外のことについては彼が自分で責任を持って決めていた。
アルカラスも年齢と経験を重ねるにつれ子どもではなくなると同時に、コーチがあらゆる状況を完全にコントロールすることは不可能になるだろう。フェレーロの厳しさはアルカラスのプレーの幾つかの分野を向上させたのは確かだろうが、最終的に決定権を持つのは選手自身。個人的には選手を完全に包み込むようなやり方は好きではない。どれだけ優れたコーチであっても、大人になった人間をコントロールするべきではないと考えている」
アルカラス側から提示された新契約書にフェレーロ氏の報酬額大幅カットが盛り込まれていたらしいことも踏まえてか、最後にトニ氏はナダルとの契約中に自身が受け取っていた報酬額についても言及した。
「私がラファとあれほど長く一緒にいられたのは、契約が非常に安上がりだったからだ。ラファはよく私に『こんな金額で、叔父の代わりを務められる人がどこにいるんだ?』って言っていたよ」
結果的には“お金に執着しない姿勢”が甥との長期的で安定した関係構築につながり、選手とコーチの関係性は金銭条件のみに左右されるものではないと締めくくった。
文●中村光佑
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