もうひとつの「ガッカリ」ドラマ

小瀧望(C)日刊ゲンダイ
それは、WEST.の小瀧さんが出演する「小さい頃は、神様がいて」です。物語の冒頭、仲間由紀恵さん(46)演じる主婦・小倉あんは、夫の渉に離婚を突きつけました。この最初のヒキを作るために、あんの人格や家族関係などその他の設定すべてに矛盾が生じてしまっているように感じました。
2人の子供が幼い頃、育児で限界を迎えたあんは、第二子・ゆずが20歳になったら離婚することを渉に約束させました。ゆずの20歳の誕生日を迎え、あんはそれを実行します。
しかし、それにしてはあまりに家族が良い人すぎるし、そこに愛がありすぎるのです。渉は家事・育児に協力的ではなかったものの、社畜として懸命に家族を支えていたし、あんを愛していました。

仲間由紀恵(C)日刊ゲンダイ
小瀧さん演じる長男・順もキラキライケメンで、独立して消防士になっています。あまりにクリクリのお目目から、天使のようなイイ奴発言連発で、好感度しかありません。ゆずも、自分の誕生日と共に母親が出ていくという辛い目にあっていますが、健気にあんを応援しています。
こんな良い家族を、自己アイデンティティのために捨てて出ていくあんがよく分かりません。約束を糧に我慢してきたのは分かりますが、良き妻・良き母として振る舞ってきたあんの人柄を考えると、自我を通し過ぎている気がします。
特に小瀧さん演じる順が際立って素敵すぎて、あんが残酷にすら見えてしまう。“小瀧望の無駄使い”と感じられる要因となりました。
“あの人”はこの機会から本格復帰なるか?

手越祐也(C)日刊ゲンダイ
一方、期待以上だった“良作ドラマ”としては、元NEWSの手越祐也さん演じる作田索が、及川光博さん(56)演じる波多野玄一とゲイカップルとなる「ぼくたちん家」を挙げたいと思います。
今作では、2人のイチャイチャは手を繋ぐ程度で、ガッツリBLものを期待していた人にはガッカリだったかもしれません。ただこのドラマは、ゲイカップルの理想と現実を丁寧に描きつつ、トーヨコ通いの少女との関わりを通じて、生きる意義を問いかけてきました。
「なくなったってことは、あったってこと」、「前向きに諦める」、「ないものよりあるものを大事にする」。万人が共感出来る名フレーズがばんばん飛び出して、深く考えさせられました。

及川光博(C)日刊ゲンダイ
アイドルとして活躍後、なんやかんやあって2020年に独立した手越さん。今回7年ぶりのドラマ復帰が発表された際は、話題先行と思われていたようですが、そんなことはありません。
