本連載では、北青山D.CLINIC院長の阿保義久先生が、忙しい現代女性の健康と美を守るヒントをお届けします。
「これ、いつの間にできた…?」
ふと鏡に映った脚を見て、赤や青の細い血管がクモの巣のように浮いていることに気づく──そんな経験はありませんか?
実はそれ、「レッグベイン」と呼ばれる網目状・クモの巣状の静脈瘤かもしれません。
痛みが強くないため見過ごされがちですが、スカートやサンダルを履くときにどうしても目に入り、美容面で悩む女性がとても多い症状です。
北青山D.CLINICは、レッグベインを含む下肢静脈瘤の治療に25年以上取り組み、累計4万件以上の手術を行ってきたクリニック。
今回は、そんな豊富な臨床経験を持つ阿保先生の知見をもとに、レッグベインの正体と「冬に治療を始めるメリット」をわかりやすくまとめました。
読者のみなさんが、自分の脚の変化を前向きに理解し、必要なケアに一歩踏み出すヒントになれば幸いです。
レッグベインとは

「レッグベインとは、太ももやふくらはぎ、足首の周囲、膝の裏などにできる『網目状』『クモの巣状』の静脈瘤を指します。脚に発生する青や赤色の細かい毛細血管拡張で、基本的に健康上の大きな問題はありません。」(阿保義久先生)

実はこのレッグベインは、下肢静脈瘤の中でも「細い血管が拡張して見えるタイプ」に分類されます。
一般に「下肢静脈瘤」というと、ボコッと盛り上がった太い血管をイメージする方が多いのですが、レッグベインのように毛細血管が網目状・クモの巣状に広がるタイプも、静脈の弁が弱って血流が滞ることで起こる静脈のトラブルのひとつです。
放置すると、次のような変化が現れることがあります。
□広がる範囲がだんだん増える
□一日の終わりのむくみやだるさの一因になる
□写真や鏡に映った自分の脚が気になり、ファッションや温泉・旅行をためらう理由になる
にもかかわらず、「病気だと思っていなかった」「どこで相談してよいかわからない」と、医療機関に相談したことがない方が多いのが実情です。
なぜできるの?加齢・立ち仕事・妊娠・遺伝…さまざまな要因が関係

レッグベインは、静脈の中にある“弁”が弱くなり、血液の流れが滞ることによって起こります。
血液がうまく心臓に戻れず脚側にたまり、静脈の圧が上がることで、細い血管が拡張して「網目状」や「クモの巣状」に目立ってくるイメージです。
主な要因としては、次のようなものが挙げられます。
□加齢:弁の劣化や血管のしなやかさの低下
□長時間の立ち仕事:重力の影響で常に脚の静脈に負荷がかかる
□妊娠・出産:血液量の増加やホルモンバランスの変化、腹圧上昇
□遺伝的な体質:親族に静脈瘤があると発症しやすい
□運動不足・同じ姿勢が続く生活:血流を送り出すふくらはぎポンプのが十分に働かない
特に、教師・調理師・美容師・看護師・キャビンアテンダントなど立ち仕事に従事されている方はレッグベインを発症しやすく、一度出てしまうと範囲が広がりやすいとされています。
また、日常生活でのセルフケア(適度な運動・水分補給・同じ姿勢を続けないなど)は予防や悪化防止には役立ちますが、一度浮き出た細い血管そのものを消すことはできません。
ここが、「セルフケアだけでは限界がある部分」です。
