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元たま・知久寿焼が明かす『さよなら人類』を封印した理由「いまだにオファーきますよ。そういう人たちってほんと僕らに興味がないんだなーって」【2025 音楽記事 4位】

元たま・知久寿焼が明かす『さよなら人類』を封印した理由「いまだにオファーきますよ。そういう人たちってほんと僕らに興味がないんだなーって」【2025 音楽記事 4位】

2025年度(1月~12月)に反響の大きかった音楽記事ベスト5をお届けする。第4位は、『さよなら人類』で一世を風靡したバンド・たまのボーカルだった知久寿焼氏を取材した記事だった(初公開日:2025年9月7日)。

 

90年代初頭に『さよなら人類』などの大ヒット曲で社会現象となったバンド「たま」。解散から20年以上経ち還暦を迎えた同バンドのギターボーカルだった知久寿焼氏に、現在の活動とたま再結成の可能性を聞いた。 〈前後編の後編〉

16歳の女子高生もライブに来てくれる 

――60歳まで音楽活動をしていると想像していましたか?

知久寿焼(以下、同) それは想定内ですね。死ぬまで何らかの形で音楽をやってるんじゃないかとは思ってたから。こんなに長生きするとは思ってなかったけど、この年まで歌うことを生業にできているのは本当にラッキーですよ。

――60歳で活動する上で大変なことはありますか?

やっぱり年を取ると体が衰えるんで、気持ちよく歌うために気をつけなきゃいけないことは増えてます。

前は始まる前からライブ中もずっとビールを飲んでたけど、今は本編が終わってアンコールのときに飲むくらい。歌のために本当に、本当に自重してます。ここ、強調させてください(笑)。

――大のお酒好きですからね(笑)。今年は「還暦行脚」ということで、全国のライブハウス等を回っていますが、完売も少なくありません。人気は健在ですね。

僕が回るところがことごとく小さい会場だから、動員がものすごいってわけじゃないですよ。

尊敬する友部(正人)さんや原マスミさんみたいに、小さなところで懇意なお客さんに囲まれて歌うことを目指してたから、まぁそのとおりになってるのかな。

それにね、もう飽きちゃって来なくなる人がいる一方で、新しく来てくれる人もいてそれはうれしいね。

この前も江古田マーキーというライブハウスで高校生のとき以来44年ぶりにやらせてもらったんだけど、そこに16歳の男の子1人と女の子2人が別々で来てくれてたよ。あなたたちの年くらいのときに僕は歌い始めたんだよって話をしてさ。

――YouTubeなどで知久さんのことを知ったのでしょうか。

そうだね。あと親の影響で知ってくれることも多いみたい。

実はロックが苦手 

――知久さんはソロ活動のほか、結成30周年を迎えたアコースティックオーケストラバンド「パスカルズ」や、エレクトロニカ集団「macaroom」とのコラボユニット「まかちく」でも活動しています。とくにパスカルズは海外でも高い評価を得ていますね。

バンド名の元になってるフランスのミュージシャンのパスカル・コムラードさんが吉祥寺のSTAR PINE'S CAFEでライブをやったときに、うちのリーダーのロケット・マツが音源を渡したら気に入ってくれてね。

それで向こうのフェスに呼ばれて演奏したら、現地のプロダクションが僕らを見つけてくれて、フランスでツアーを何回か組んでくれました。

――パスカルズはフェス向きの音楽でもありそうですしね。

日本のフェスには呼ばれないけどね(笑)。

――「SUMMER SONIC 2009」には出演してましたが。

それで(同じくたまの元メンバーでパスカルズの一員でもある)石川(浩司)さんが奥さんの水着を着てステージに上がって、キンタマをポロリしちゃったんですよ。

奥さんは「お気に入りの水着だったのに股間が伸びてもう着れない」ってブチギレてた(笑)。

――それでフェスに呼ばれなくなったのかも(笑)。9月には「まかちく」で初のツアーも開催。

macaroomが僕の『電車かもしれない』って曲をカバーしたのを聞いて気に入って声をかけたんです。本当は2020年にツアーをやるはずだったんだけど、コロナ禍で延期になってて、それがようやくできるって感じですね。

――知久さんはアコースティックへのこだわりが強いと思っていたので、エレクトロな楽曲であるこのユニットは意外でした。

アコースティックにすごくこだわりがあるわけじゃないけど、エレキギターは弦が柔らかすぎて弾きにくいのと、もともとロックがそんなには好きじゃないからね。

――そうなんですか⁉

もちろん好きなのもありますよ。でもロックって言葉を信仰してるかんじが嫌いなんですよ。「これってロックだよね」って言っとけばカッコイイみたいなのが大嫌い。

ロックに限らず、これ言っとけばいい、そういう前提でみんながこっち向いてるはずだって考えに、ものすごく抵抗を感じるんです。

石川さんもたまーに言うんですよ。「俺はこう見えてロックだから」とか。僕からするとカッコ悪い(笑)。

――(笑)。ナゴムレコードに所属していたのにロックが苦手とは意外です。

ロックミュージシャンによくいる英語のイントネーションを真似た歌い方は高校生の時から毛嫌いしてましたね。そういう音楽も最近はおもしろがれるようになりましたけど。ああいう人がいるからコントラストとして自分の立場が確保されてるとも言えますし。

僕はメインでドンッってよりも、はじっこが好きなんです。

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