『佐賀県』の大ヒットでも知られるお笑い芸人で歌手のはなわ(49)。最近では家族の日常を映すYouTube『はなわチャンネル』(登録者数50万人超)でも人気を集めている。そんな彼が、2025年11月22日に『柔道3兄弟と天然ママと僕〜はなわの楽しい子育て〜』(徳間書店)を上梓した。
11月11日には『いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー2025』を夫婦で受賞し、「はなわ×家族」という視点で再び注目されているはなわに 「子育て」「芸人」「家族愛」 について話を聞いた。(前後編の前編)
子どもや奥さんの顔出しには抵抗があった
ヒット曲『佐賀県』で一躍有名人になったお笑い芸人はなわ。そんな彼は一家の大黒柱で、自身のYouTubeチャンネルでははなわ家ののほほんとした日常を投稿している。3兄弟にちょっぴり天然な妻・智子さん、最近では長男・元輝さん夫妻の間にお子さんも誕生し、幸せいっぱいな一家だが、そんなはなわ家はメディアやYouTubeに出ることに対して思うことはなかったのだろうか。出演の経緯や“はなわ流子育て論”とは――。
――芸能人の子どもというだけで世間からは一般家庭とは違った目線で見られることもあるかと思いますが、そういった点で子育ての苦悩はありますか?
僕全然ないんですよね。僕の知らないところで子どもたちは大変だったかもしれないですけど、僕自身はまったくないですね! 逆に皆さんに応援していただけて嬉しいと思っています。
――お子さんたちもテレビやYouTubeで人気ですもんね! お子さんの顔出しに関しては最初から抵抗はなかったのでしょうか。
もともと僕は、妻含めて自分の家族の顔をメディアに出すのは嫌だったんです。今の僕しか知らない人からすると、想像もつかないと思うけど芸風的にはトガったキャラでやっていましたし(笑)。
――売れる前は、トガった芸風だったんですね! そうすると、大ヒットした『佐賀県』を歌っている頃のはなわさんとはギャップがありますね。何か心境が変化するようなきっかけがあったのでしょうか?
『さんまのSUPERからくりTV』(TBS系)のスタッフさんが知り合いだったのですが、そこで子どもの企画があって「1回だけだからちょっと出てくれない?」とお願いされたんです。
「まぁ1回だけならいいか」とOKしたら、何がおもしろかったのか反響がすごかった。長男は身体が大きいのにおとなしくって、次男はヤンチャでずっとオードリーの春日のモノマネをやってる…。子どもたちのキャラクターが良かったんだと思います。
――そこから柔道の密着にもつながっていくと?
そうですね。妻も子どもたちもメディアに出ることに関して別に抵抗もなく、嫌がらず出てくれました。もし思春期とかで子どもが『テレビに出たくない』と言ったら、すぐにやめていました。
――思春期といえば、お子さんたちは反抗期はなかったのでしょうか?
反抗期はなかったですね。そもそもそんなに僕が怒らないので『こうしなさい!』とか『ダメでしょ!』とか、そういった上から目線の言い方はしないんです。なぜなら僕自身がそんなこと言えるような人間ではないから(笑)。
子どもを1人の人間としてリスペクトしているんですよ。僕自身が柔道とか途中でやめてる人間なんで、あんなにきついことをずっと続けていて、「こいつら毎日練習してスッゲェな!」って尊敬しかないです。
長男が両親に送った結婚式の手紙
――はなわさんは20年以上子育てをされていますが、お子さんたちから言われて感極まったことはありますか?
2023年に長男が結婚しまして、結婚式で僕と妻にそれぞれ手紙を書いてくれたんですよ。「僕らの子どもに生まれて良かった」というような内容で、それはすごく嬉しかったですね。
子どものために生きてきて“親としてちゃんとした人間でいなければ”ということを、すごく意識してました。子どものために恥ずかしくない父親でいたいと。いつかそんな親心が伝わればいいなと思っていたので、ちゃんと伝わっていたのかなと思えて感極まりましたね(笑)。
――とても素敵なエピソードですね。子育てにおいて「放任主義」という考えをお持ちのようですが、はなわさんにとって「放任主義」とは?
子どもは可愛いし、心配だからついつい過保護になってしまって、いろいろ言いたくなってしまいますよね。失敗しないようにと子どもが進路や交友関係で選択を迷った時に「それはやめたほうがいい!」とか、「それをしたら絶対失敗する」とか。よかれと思って、子どもの行動を軌道修正してしまうじゃないですか。
一見、良いことではあるんですが、そうすることによって失敗する経験を子どもから奪ってしまうことにもなると思うんです。グっと我慢して子どもの自立のために干渉しないでおく。
自分のした失敗に自ら気づいて、後悔して反省して次に活かす。そういう能力を子どもが自分で身につけるために、あえて放任する。
――あえて放任するというのは、子どもが寂しい感情を抱く可能性もあるかと思うのですが、その部分についてはどのようにお考えですか。
最終的に「自立する」ということが一番大事だと思っていまして。ただ、そこには愛情が絶対に必要不可欠です。親が子どもに対して、とてつもない愛情があるということを子どもたちに感じ取ってもらう必要がある。愛情表現はちゃんとしながら、親は見守っているぐらいがいいのかもしれませんね。

