プロテニス選手は、高度なショットをいとも簡単に叩き込む。なぜあんなボールが打てるのか？ その秘訣をプロ本人に明かしてもらうシリーズ。今回は23年全日本選手権でベスト８入りし、日本ランキングを25位まで上げた住澤大輔選手が登場。深さのあるフォアハンドトップスピンの打ち方を教えてもらった。
＊ ＊ ＊
僕にとってフォアハンドは相手を追い込む上で一番重要なショットです。トップスピンやフラットなどボールの高さを変えたり、コートを広く使っていくには、バックよりもフォアの方がやりやすいので、やはりラリーの軸はフォアになります。
この写真は、ラリーの中でベースとなるフォアハンドのトップスピンですね。後ろめのポジションから、しっかり回転をかけて深く打ったショットだと思います。
フォアのスピンで僕が技術的に重要視しているのは、左手です。テイクバックで左手をしっかり前に出し、肩を入れることによって（写真４コマ目）、相手にコースを読ませないようにしています。
最初は左手をラケットに添えて引きますが（１～２コマ目）、離した後も結構深く入れておくのがポイントです。もともと僕は身体が柔らかく、左肩が入る方ですが、意識して深く入れることで、コースを隠すだけでなく身体の回転も使えるようになり、スピン量を出せているんだと思います。
身体をひねって戻す力を利用して（４～７コマ目）、威力やスピン量を生むようにしているので、振る時に右腕には力を入れ過ぎず、リラックスさせておきます（６コマ目）。力を入れるのは打点だけ（７コマ目）。その後はまたリラックスして、しなやかに腕を振るという感覚です。
力を入れすぎると筋肉が固まって、スピン量が減ってしまいます。僕は腕に力を入れないぶん、手首を柔らかく使って、下から上にこすり上げるようにしていますね（８コマ目）。
あと足についてですが、僕はオープンスタンスを多く使います。クローズドで入ると身体が回りにくく、オープンの方がねじって戻す動作がしやすいですから。身体の回転で威力を出していくタイプなので、必然的にオープンが多くなるのでしょう。
右足でボールに入り（４コマ目）、その右足を踏ん張って、蹴り上げる（６コマ目）。そうすると自然な流れで身体の回転もついてきます。
【プロフィール】住澤大輔／すみざわだいすけ
1999年１月31日、神奈川県生まれ。178cm、72kg、右利き。頑強なスピンのフォアハンドと、キレのあるバックハンドのダウンザラインが武器。2016年全豪ジュニアに出場し、17年にプロ転向。22年にマレーシアでITFツアー初優勝を飾り、23年の全日本選手権で８強入りした。JTAランク最高25位。複でもITF５勝を挙げている。イカイ所属。
構成●スマッシュ編集部
※『スマッシュ』2024年６月号より再編集
【連続写真】深く打った住澤大輔のフォアハンドトップスピン『30コマの超分解写真』
【関連記事】バックのリターンで高いボールを処理するには？ 清水映里が意識するコツは後ろ足のセット【プロが明かすテニス上達法】＜SMASH＞
【関連記事】回り込みフォアの鍵はラケットを振り切れる空間を作ること。清水映里が最大の武器の極意を明かす！【プロが明かすテニス上達法】＜SMASH＞
