現地12月20日、ブラジル・ベレンで開催しているバレーボール男子の世界クラブ選手権は準決勝が行なわれた。
第1試合はアジア2位で出場する大阪ブルテオン(SVリーグ)が欧州2位のアルロンCMC ヴァルタ・ザビエルチェ(ポーランド)を3-0(25-17、25-23、25-19)で下して、日本勢として初めて決勝の舞台へ駒を進めた。
大阪ブルテオンの先発は、司令塔が五輪2連覇中のフランス代表アントワーヌ・ブリザール、主将のOP西田有志、OH富田将馬、MBエバデダン・ラリー、L山本智大の日本代表メンバー4選手と富田の対角はOHキューバ代表ミゲル・ロペス、もう1枚のMBに中国代表の彭世坤を起用した。
ザビエルチェは欧州チャンピオンズリーグの昨季ファイナリスト。男子日本代表主将・石川祐希が所属するペルージャにタイトルを譲ったが、準優勝を果たした強豪だ。先発にはポーランド代表のOHバルトシュ・クフォレク、MBのマテウシュ・ビエニエク、OPバルトウォミェイ・ボウォンジとLヤクブ・ポピフチャクの4選手、在籍5季目の同国出身MBミウォシュ・ズニシチョル、Sのポルトガル代表ミゲル・タヴァレスとOHの米国代表アーロン・ラッセルを起用した。〈S:セッター、OH:アウトサイドヒッター、OP:オポジット、MB:ミドルブロッカー、L:リベロ〉
第1セットは、大阪ブルテオンがサーブミスの頻発で試合に入り込めないザビエルチェを堅実な攻守で圧倒。これ以上ないスタートを切る。第2セットはややギアを上げた相手が出足にブレーク。中盤の入りにラリーのサーブで相手にコンビミスが出た後、ロペスのブロックアウトでロングラリーをものにして逆転に成功するが、終盤に追い上げを許して劣勢へ転じる。
嫌なムードを断ち切ったのは、リリーフサーバーとして起用されたOH甲斐優斗。9メートルラインからエース1本を含む強烈な打球で2連続ブレークを呼び込む。奪い返したリードを守って白星に王手をかけた大阪ブルテオンは、迎えた第3セットも終始サーブで攻め込み順調に得点を重ねる。リード9点で20点台に乗せた終盤には、この試合でアタック効果率66.67パーセントを叩き出した主将の西田がキレ抜群のライト攻撃3打で勝利を決定づけ、快勝で決勝への切符を手にした。
第2試合では、欧州1位のシル スーザ シコマ モニーニ・ペルージャ(イタリア)が開催国枠で出場のヴォレイ・レナータ(ブラジル)を3-0(25-15、25-16、25-21)で退けて、通算出場3回で3度目の決勝進出を果たした。
ペルージャは大会初戦から布陣を変えずに、先発は司令塔のイタリア代表シモーネ・ジャンネッリ、OPが元チュニジア代表ワシム・ベンタラ、MBはアグスティン・ロセルとセバスティアン・ソレのアルゼンチンコンビ、Lに元イタリア代表マッシモ・コラチ、OHはポーランド代表カミル・セメニウクと元ウクライナ代表オレフ・プロトニツキを起用。石川はベンチスタートとなった。
ブラジルリーグで現在首位につけるレナータは先発に、元同国代表のSブルーノ・レゼンデ、OHマウリシオ・ボルジェス、Lルーカス・デ デウス、同代表の現メンバーであるMBジャドソン・ヌネス、マテウス・ビスポと次世代代表の攻撃陣OHアドリアーノ・シャビエルとOPニュートン フェルナンデス・フィリオを起用した。 1点を追い第1セット序盤を終えたペルージャは、中盤にセメニウクの2打、ベンタラのエースとジャンネッリのブロックで4連続得点。一気に前へ出ると、以降もサーブでたたみ掛けてブレークを量産する。23-14でセメニウクに替わり起用された石川は得点ならずも、放った1打でラリーへつなげてセットポイント。ロセルのブロックアウトで危なげなく試合を先行する。
第2セットはレセプションに苦しむレナータをサーブで追い込み、好調なベンタラの攻撃と今大会で二桁連発のブロックなどで終始リード。20-15で再びコートへ送り出された石川は、最初のプレーでレフトからの豪快なクロス弾を沈めると、相手OPの強打をブロックで阻止してセットポイントを引き寄せる。するとペルージャはすぐさまロセルのエースで2セット目を奪取する。
第3セットも盤石の出足で早々にリードを奪う。後半の入りにベンタラの被ブロックが続くも、ジャンネッリのツーとアタックで間髪を容れずに4点差へ戻す。終盤にレセプションで精彩を欠くなどして21-21へ追い上げを許すが、セメニウクのレフト攻撃でリードを譲らず。相手のバックアタックがラインを割り迎えたマッチポイントをソレのブロックで制して決勝へ駒を進めた。
石川は第1、2セット終盤の途中出場で2得点(アタック1、ブロック1)。3試合ぶりのコートで会心のレフト攻撃を決め切ると笑みがこぼれた背番号14は、クラブの公式インタビューで試合を振り返った。
「決勝進出を果たせてチームはとてもうれしく思っています。(準決勝は)3-0で終えることができ、どのセットも出足が非常に良かった。3セット目は最後に巻き返されたが、チームは慌てず冷静に対応した。サーブとブロックが良く機能し、レセプションもほぼ完璧でサイドアウトが僕らの強みになっていると思う」
地元ブラジルのチームが相手で完全アウェーの戦いに勝利したことについては、このように評価した。
「(相手チームへの)応援がすごかったが、それでも集中を切らさなかったペルージャは素晴らしかったと思う」
そして、決勝の相手は大阪ブルテオン。予選ラウンドでの対戦は大接戦の末に、フルセットを制したペルージャに軍配が上がった。タイトル争いとなる再戦を前にこう抱負を述べた。
「再戦できることをうれしく思う。予選はタフな戦いになった。決勝も同様に厳しく、そして素晴らしい試合になるでしょう。僕らペルージャは自分たちのプレーを貫いて戦い続けることに力を注ぎます」
決勝は現地21日(日本時間22日午前6時30分)。日本のクラブとして史上初の銀メダル以上を確定させた大阪ブルテオンはさらに上の表彰台を目指し、ペルージャは出場3大会連続の世界王座を狙う。
構成●THE DIGEST編集部
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