リーダーシップ欠如が露呈
さて、福田は政権に就くや、自らの内閣を「背水の陣内閣」と“命名”したうえ、「平時だったら私が出馬することにはならなかった」とも口にしていた。
時に、安倍政権下で続出した「政治とカネ」の問題、年金記録漏れ問題が立ち塞がっており、後期高齢者医療制度が開始され、ガソリン暫定税率をめぐっての騒動も起こり始めていた矢先であった。
前出の自民党ベテラン議員は、こう続けている。
「さらに、福田にとって厳しかったのは、自民党内部で消費税増税を旨とする財政再建派と、かねてからの“小泉構造改革”を支持する経済成長路線派のバトルが激化したことだった。しかし、肝心の福田は万難を排して決断し、前へ進もうという気迫がまるでなく、リーダーシップ欠如を露呈してしまった。
福田は政権欲が薄かった人物だったが、もともと政治そのものへの執着がなく、政権を担うという重責への自覚が乏しかった。なるほど、官房長官時代からの安定感を期待した国民は裏切られ、支持率が下落の一途をたどったのもうなずける。
また、こうした苦境を脱するために解散・総選挙を模索したが、連立を組む公明党にゴネられ、すべてが立ち行かなくなった。そうしたなかで、ピッタリ1年間で安倍同様の政権投げ出しに追い込まれた」
福田“最後のあがき”は、野党第1党の民主党・小沢一郎代表に自民党との「大連立」を持ちかけ、これを模索したことであった。しかし、結局は苦渋をのまされることになり、失意のなかで政権の幕を降ろさざるを得なくなるのだった。
(本文中敬称略/次号に続く)
「週刊実話」1月1日号より
小林吉弥(こばやし・きちや)
政治評論家。早稲田大学卒。半世紀を超える永田町取材歴を通じて、抜群の確度を誇る政局・選挙分析に定評がある。最近刊に『田中角栄名言集』(幻冬舎)、『戦後総理36人の採点表』(ビジネス社)などがある。
