男子テニスの20歳以下のシーズン最終戦「ネクストジェンATPファイナルズ」(12月17日~21日/サウジアラビア・ジェッダ/室内ハードコート/FIN)は大会最終日の現地21日にシングルス決勝を実施。第1シードで世界ランキング28位のラーナー・ティエン(アメリカ/20歳)が第2シードで同116位のアレクサンダー・ブロックス(ベルギー/20歳)を4-3(4)、4-2、4-1で下し、同大会初優勝を飾った。
例年通り4ゲーム先取(ゲームカウント3-3で7ポイント制のタイブレーク)での5セット方式や、ノーアドバンテージ(デュースなし)など通常のツアー大会とは異なる特殊ルールで行なわれた今大会。今年は4名ずつが「ブルー・グループ」と「レッド・グループ」の2グループに分かれてラウンドロビン(総当たりのグループリーグ/以下RR)を戦い、各グループの上位2名が決勝トーナメントに進出した。
ティエンはRR初戦でラファエル・ホダル(スペイン/19歳/同168位)に敗れたもののブルー・グループを2勝1敗で、ブロックスはレッド・グループを3勝0敗で通過。現地20日の準決勝でティエンは第6シードの同胞ニシェッシュ・バサバレディ(同167位/20歳)を4-2、4-1、4-3(3)で、ブロックスは第5シードのニコライ・ブドコフ シャール(ノルウェー/同136位/19歳)に4-3(4)、4-3(8)、4-2で勝利して決勝へ駒を進めていた。
20歳同士の対決となった決勝戦。2023年の全豪オープン・ジュニア決勝ではブロックスに敗れていたティエンだったが、今回は序盤から持ち前のベースラインでの安定感を見せ、第1セットこそタイブレークに持ち込まれたものの59分で勝利。昨年ジョアオ・フォンセカ(ブラジル/現24位)に敗れて準優勝に終わったサウジアラビアの地で見事雪辱を果たした。
オンコートインタビューでティエンは試合内容を振り返りつつ、次のように喜びを語った。
「タフな試合になるとはわかっていた。最初の1セット半は、彼(ブロックス)はファーストサービスを1本もミスしなかったと思う。彼が本当に良いプレーをしていたから、勝ち切れてすごくうれしい。今年は達成したいことがたくさんあって、目標リストにも多くの項目を作っていたけど、そのほとんどをクリアできたから、本当に満足している」
その言葉通り、今季はティエンにとって躍進の1年となった。トップ10選手から5勝を挙げ、11月の「モーゼル・オープン」(フランス・メス/室内ハード/ATP250)でツアー初優勝を達成。シーズン開幕時に120位台だった世界ランキングも28位まで押し上げ、驚異的なランクアップを遂げた。
なお今回の優勝でティエンは賞金50万2,250ドル(約7915万円)を獲得。ステファノス・チチパス(ギリシャ/元3位/現34位)、カルロス・アルカラス(スペイン/現1位)に続き、第1シードで「ネクストジェンATPファイナルズ」を制した史上3人目の選手となった。
文●中村光佑
【動画】ティエンVSブロックスの「ネクストジェンATPファイナルズ」決勝ハイライト
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