デジタル寄付への関心と課題——「関心はあるが分からない」

一方、今夏各地の祭りなどで見られるようになった、デジタル寄付の導入について尋ねました。結果は、「関心あり」が約8割と、注目が高まっていることが浮き彫りに。ただし、関心は高いが、「よく分からない」「運用面に不安がある」という回答が目立ちました。すでに導入済みと答えた団体も一定数ありますが、全体としてはまだ情報やノウハウが十分に行き渡っていない段階と言えます。
資金確保に関する設問を通じて浮かび上がるのは、単なる資金不足ではなく、「誰が、どのような形で祭りを支えるのか」という問いです。特に「自己負担」が今なお選択肢として挙げられている点は、運営者の献身に依存した構造が続いていることを示しています。
【PR・観光】祭り・イベントの情報発信の現状——SNS活用と地域内外への発信
祭りや地域イベントの継続に向けて、PRや観光活用にどのように取り組んでいるのか。本アンケートでは、現在行っている情報発信や広報活動について尋ねました。

回答を見ると、SNSを活用した情報発信が最も多く、次いでポスター掲示やチラシ配布、ウェブサイトでの情報掲載など、複数の手法を組み合わせてPRを行っている団体が多いことが分かります。また、テレビ・新聞・ラジオといったマスメディアを通じた発信に取り組んでいるケースも見られました。
これらの結果から、多くの祭り・イベントが、規模の大小を問わず、何らかの形で外部に向けた情報発信を行っている状況がうかがえます。
そして、PRの中でも、地域外からの来訪や交流を意識した取り組みとしては、他地域との連携イベントなどが挙げられました。
また他の設問の自由記述からは、SNSを通じて日常的に活動の様子を発信している例や、開催情報だけでなく準備風景や関係者の思いを伝える工夫を行っている取り組みも伺えます。
有料観覧席・特別体験は必要——関心は高いが検討段階

観光資源としての祭りの活用を考える際、新たな収益源として注目されることの多い「有料観覧席」や「特別体験」「限定グッズ」など観光客向けのさまざまな商品開発について、本アンケートでは導入の検討状況を尋ねました。回答を見ると、もっとも多いのは「必要だが、内容を検討中」というもので、多くの祭りで関心はあるが実施には至っていない段階にあることが分かります。その理由としては、会場設営や安全管理、運営体制の確保など、追加の負担が生じることへの懸念といった声が自由記述から読み取れます。一方で、地域の理解が得られるか分からないという声もありました。
これらの声からは、有料化への拒否感というよりも、祭りの価値観や地域との関係性を慎重に考えている姿勢がうかがえます。
【運営方針】開催日変更・新演出をどう判断するか——守る文化、変える現実
本アンケートでは、祭り・イベントの運営方針に関わるテーマとして、開催日の変更や新たな演出手法、祭り関係者同士の互助関係についても意見を尋ねました。

