祭り現場同士の交流は?——「横のつながり」は求められている

また、祭り・イベント関係者同士のコミュニティがあれば参加したいか、という問いには、前向きな意見が多く寄せられました。他地域の事例を知りたい、課題や悩みを共有したいといった声からは、個々の現場が孤立しがちな状況が背景にあることがうかがえます。
その一方で、「企画や運営にも携わりたい」「交流目的」といった回答に比べ、「情報収集目的」が多かったのは、やはり時間などの現実的な制約も背景にあると見られ、関心と実行のあいだには少し距離があることも明らかになりました。
開催日の変更、新たな演出手法、ネットワークづくり。いずれのテーマについても、アンケート結果から見えてきたのは、「変えるべきか、守るべきか」という単純な二択ではありません。各地の現場では、伝統や信仰、地域との関係性を尊重しながら、同時に安全性や継続性、社会環境の変化にも向き合い、その都度、判断を積み重ねていることが分かります。
祭りを「続けたい」という声を、社会の問いへ

本アンケートでは、祭りや地域イベントを続ける意義についても意見を寄せていただきました。そこに共通していたのは、祭りが単なる催しや観光資源ではなく、人と人、人と地域をつなぐ営みとして捉えられているという点です。「伝統を次世代に継承するため」「コミュニティの結束」「住民や参加者のため」「地域に帰属意識や誇りをもたらすこと」といった代替しがたい価値が祭りにあるという回答が多く見られます。
一方、本アンケート全体の自由記述を通して見ると、「本当にこの先も続けられるのか分からない」「運営への不安や負担が大きい」といった、切実な思いがにじむ記述も見られました。担い手不足、資金不足、PRや運営負担、行政との調整。どの課題も、個々の現場の努力だけで解決できるものではなく、社会環境の変化と深く結びついています。
皆さまから寄せられた回答は、各地の現場が抱えている悩みや判断の背景を可視化し、「祭りをどう支えていくのか」という問いを社会全体で共有するための貴重な資料となりました。祭りを次の世代へとつないでいくために、どのような支え方があり得るのか。オマツリジャパンは、祭りの現場の声に耳を傾けながら、その問いに向き合い続けていきます。

