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岐阜は柏木陽介にとって「導かれてきた土地」。盛大な引退試合はミッションの続き「環境を整えたいと思っています」

岐阜は柏木陽介にとって「導かれてきた土地」。盛大な引退試合はミッションの続き「環境を整えたいと思っています」


 2023シーズンで18年に渡る現役生活に終止符を打った柏木陽介。現役時代、代表として国際Aマッチ出場11試合、浦和時代のアジア・チャンピオンズリーグ制覇、同大会のMVPにも選ばれ、アジアナンバーワンプレーヤーの称号を得た男が、12月21日に引退試合を行なった。

 人生の区切りとなるゲームの場所に選んだのは、長良川競技場(岐阜県岐阜市)。柏木が現役最後の3シーズンをプレーしたクラブ、FC岐阜のホームグラウンドである。試合はあいにくの雨模様で、時折風雨が強く吹きつける天候となったが、スタンドには1万5千人を超えるファン・サポーターが集まり、稀代のファンタジスタの最後のプレーを目に焼きつけた。

 引退試合にあたり、柏木の呼びかけに応えたのは、本田圭佑、香川真司、内田篤人をはじめとするスタープレーヤーや、槙野智章や髙萩洋次郎など、柏木が盟友と呼ぶ選手たち40数人だ。

 2チームに分かれ「YOSUKE FRIENDS」の監督にはミハイロ・ペトロヴィッチ、「KASHIWAGI GENERATIONS」はラモス瑠偉が指揮を執った。キックインセレモニーにはタレントの加藤茶さんが駆けつけるなど、柏木の交友関係の広さ、プレーヤーとしてだけでなく人柄をも証明するメンバーとなった。

 40分ハーフで行なわれたゲームでは、柏木は「ガチでいく」という事前の宣言通り、両チームのユニホームを取っ替え引っ替えしながらフル出場。緩急をつけて間を作り、時間を止めるパスを供給。広い視野でゲームをコントロールするなど随所に「柏木らしい」プレーを見せつけた。

 ハイライトは前半35分、フィールド中央から前線の本田へ浮き球でパス。本田が胸でトラップしたボールを香川へと送り、ゴールに繋げた。後半38分にはPKのキッカーを務め、余裕を見せ落ち着いてパネンカで決め、自身のラストゲームで得点も記録した。
 
 後半途中、足を負傷したものの結局、右足を引きずりながらフルタイムをプレーし、サッカーで繋がりのできた僚友、全員との最後の時間を心ゆくまで楽しんだ。

 柏木は現在、引退後も家族とともに岐阜に在住している。移籍するまでは縁もゆかりもなかったが、繋がりのできた岐阜を「導かれてきた土地」と言い、自分とフィーリングが合ったところだとも話す。

 岐阜のクラブアンバサダーを務め、様々な活動をしている。ホームゲームで観戦する姿が常にあり、チームのメンバーともコミュニケーションをよく取っている。また、クラブ外でも、岐阜の観光名物であり、1300年の歴史を持つ「長良川鵜飼」の船頭を務め、岐阜という街自体の広報にも一役買っている。
 
 引退試合は、「柏木」という名前と彼のために集まったメンバーを見る限り、もっと大きなスタジアムで行なうことも可能だっただろうし、東京で行なえばもっと多くのファン・サポーターが集まり、さらに目をひくニュースとなったことも考えられた。

 また、岐阜として引退試合の開催はクラブ初であり、公式戦ではないとはいえホームスタジアムに、これだけ多くの著名な選手を迎え入れることには多大な尽力を要したはずだ。

 しかし、柏木にとって、岐阜という街で行なうこと、長良川競技場で行なうことが重要であった。「FC岐阜のクラブ、チーム、サポーターの皆さんが今日の試合を見て『この景色は最高だな』と感じたと思います。サッカー選手である限り、たくさんの人が入ったなかで試合をすることは、とても気持ちがいいことですし、ありがたいことです。選手としても、こんななかでプレーする喜びを感じてもらえたと思います」

 柏木は続けて話す。「なので(このような試合を常にできるように)クラブとして、もっと成長しなければならないし、今後そのようなクラブになってほしいと思います。僕自身の活動としても、子どもたちの今後の人生につながるような経験ができる環境を整えたいと思っています。そのひとつの『打ち上げ花火』として、この試合を岐阜でできたことは本当に嬉しく思います」
 
 2021年の途中にJ1の浦和からJ3の岐阜へ移籍してきてから、チームを変える、クラブに変革をもたらすというミッションは、常に柏木には求められてきた。

 岐阜での現役時代、自陣で前方へクリアしたボールが偶然、相手選手に当たり跳ね返ってきたワンプレー(失点に繋がったわけでもなんでもない)を試合後、「絶対にしてはいけないプレー、自分の準備が足らなかった」と自らを戒めて猛省していた。日々のトレーニングの中でのルーティンの練習でも、ひとつのパス、ひとつの動きを「今のは違う」「こうすれば良かった」と、プレーの細部まで追求する姿勢は、周囲の選手、チームに大きな影響を与えていた。

 引退し、ゲームやトレーニングで直接チームに影響を与えることはなくなったが、この引退試合もそのミッションの続きである。引退後の2年間は、岐阜県外の活動が多かったが、これからは県内で岐阜を盛り上げる活動も積極的に行ないたいと言う。

「晴れ男で『太陽』という名前もつけられたのに、こんな雨の試合になって『これで終わりにしろよ』ということかな」と柏木は苦笑するが、太陽は雲に隠れても、光や熱が届かないことはない。戦っているステージを含め、クラブはまだまだ変革の道の半ばである。サッカーで繋がり、導かれて岐阜に根を下ろした「太陽」にこれからも期待せざるを得ない。(文中敬称略)

取材・文●小崎仁久(フリーライター)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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