
桃太郎を題材に、鬼の血を引く者たちと桃太郎の血を引く者たちの争いを描くTVアニメ「桃源暗鬼」(毎週金曜夜11:00-11:30、日本テレビ系/ABEMAにて先行配信、ディズニープラス・FOD・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)の第十話が9月12日に放送された。主人公の四季が、かつて桃太郎機関を壊滅寸前まで追い詰めた鬼神の力を受け継いでいることが判明。唾切に追い詰められる中、芽衣の存在が四季を“炎鬼”として覚醒させる展開が視聴者の感動を誘った。(以降、ネタバレが含まれます)

■「桃太郎=正義のヒーロー」のイメージが覆される唾切のゲスっぷり
第十話は東京の桃太郎機関本部から幕を開ける。そこにいたのは、一ノ瀬四季(CV:浦 和希)にとって父を殺した仇である桃屋五月雨(CV:増谷康紀)だ。五月雨は地方から本部に異動してきた新人の桃田陽菜(CV:高田憂希)に“鬼神の子”について説明する。
鬼神とは、桃太郎機関を壊滅寸前まで追い詰めた鬼のこと。鬼神は多くの女性に自分の子を身ごもらせ、そのなかでも鬼神の力を受け継いだ子を「鬼神の子」と呼ぶ。21部隊隊長・桃巌深夜(CV:沢城千春)曰く、桃太郎が鬼を圧倒している時に鬼神の子が生まれるというのだ。
今がまさにその時。昔から必ず8人の鬼神の子が生まれると言われ、その一人が四季だった。四季との戦闘で義手になった五月雨は「早くその席譲ってくださいよ」という深夜の挑発を受け流しながらも、「一ノ瀬四季だけは私が殺す」と断言する。

一方、桃宮唾切(CV:岸尾だいすけ)の目的も鬼神の子である四季の確保。研究目的で生きたまま四季を捕らえたい唾切は、最後の仕上げに入る。どうにか抵抗しようと血を使いすぎて倒れ伏した四季を奮い立たせたのは、芽衣(CV:小岩井ことり)の存在だった。
四季が心配で様子を見にきた芽衣を殺そうとする唾切。四季が「芽衣、早く逃げろ!」と必死で訴える中、芽衣という名前を聞いた唾切は彼女の両親のことを思い出す。芽衣の両親は最期の瞬間まで、娘の身の安全を唾切に訴えていた。唾切は芽衣を逃し、安堵した両親に「お前ら殺した後、ちゃんと同じように殺してやる」と告げたという。そうやって絶望を味わわせた上で、唾切は芽衣の両親を殺したのだ。
鬼を殺すだけに飽き足らず、その心身を徹底的に痛めつける唾切のゲスっぷりに戦慄させられた。四季も怒りが最高潮に達し、思わず涙を流す。なぜ泣くのか理解できないという唾切に、「心があるからだ!」「心があるから、芽衣の痛みも、両親の無念も理解できる。だから、涙が出るんだ。それが理解出来ないなら、本当の鬼はお前らの方だ!」と訴える四季。
私たちが知っている童話の『桃太郎』は、桃太郎が正義のヒーローだった。しかし、本作ではそのイメージが覆される。四季が言う通り、鬼を悪とするならば、四季よりも唾切の方が鬼と言うに相応しい。

■芽衣を守るために…四季がついに鬼神の子として覚醒!
四季の言葉に激昂し、芽衣を殺そうとする唾切。すでに血は使い果たしていたが、それでも四季は諦めなかった。大切な人を守りきれなかった後悔が四季を突き動かす。「俺に守る力を…!」と手を伸ばした瞬間、その全身が巨大な炎に包まれた。
鬼神の子は炎・水・雷・土・風・氷・闇・光という8つの属性を一人ずつ受け継いでいるという。四季はそのうち炎の属性を受け継ぐ炎の鬼神「炎鬼(えんき)」だった。炎鬼となった四季は髪色も変化。体も動かせるようになり、炎をまとった銃弾は肩を焼くほどの威力を持つ。
だが、すでに重傷で体力を奪われている上に、炎鬼として覚醒したばかりの四季は血も炎も制御できない。そんな四季の様子を見て、唾切は再び攻撃を開始する。唾切が操る桃太郎の重力に押し潰されそうになりながらも、芽衣に「お前は笑顔で生きていい!好きな場所に行っていい!見たい景色を見ればいい!」と必死に訴えかける四季。鬼であるがゆえに幸せになることを諦め、暗く沈んだ芽衣の瞳に光が宿る演出が印象的だった。
「鬼に未来などない!」と四季にトドメを刺そうとする唾切と、「お前の未来を俺は応援してんぞ!」と芽衣を守るためにも最後の力を振り絞って反撃に出る四季。その瞬間、芽衣が力いっぱいに声援を送る。「もしお前が『生きたい』と思えたら、 その時は腹の底から頑張れ!って言ってくれ」と約束していた2人。四季の頑張りが、芽衣に生きる力を与えたのだ。
芽衣の声援に奮い立った四季は、威力を取り戻した炎の弾丸を全力で唾切たちに撃ち込む。四季の炎鬼としての覚醒、そして芽衣との絆を描いたストーリーに視聴者から「炎鬼に覚醒した四季めっちゃカッコ良かった」「芽衣ちゃんとのシーン泣ける」「芽衣ちゃんの応援で四季がまた頑張れるってところが大好きなんだほんと」という声が上がっていた。
■文/苫とり子


