2026年サッカー北中米ワールドカップの組み合わせも決まり、あとは約6カ月後に迫った本大会を待つばかりとなった。そこで今年の日本代表を振り返ってみたい。
今年の日本代表が最初に始動したのは、3月のワールドカップアジア最終予選。バーレーンを2-0で破り、史上最速での本大会出場を決めて、残り3試合を消化試合にした。
6月の2試合からはメンバーを大幅に入れ替えて、新戦力の発掘と下からの押し上げによる選手層の厚さを目指した。優勝した7月の東アジアE-1選手権には国内組で参加したが、アジア予選を戦ってきた主力メンバーを脅かすような選手は現れなかった。
9月、10月、11月のインターナショナルマッチデーでは、アジアレベルの相手ではなく、世界の強豪との対戦が期待された。
9月のアメリカ遠征の相手は、メキシコとアメリカ。結果は1敗1分(メキシコ戦0-0、アメリカ戦0-2)で、無得点に終わった。しかしこの遠征では、勝ち負けが問題ではなかった。メキシコ戦が行われたカリフォルニア州オークランドからアメリカ戦のオハイオ州コロンバスへは、中2日で3400キロの移動。直行便でも5時間かかり、時差は3時間あった。選手のコンディションを考え、アメリカ戦は先発を11人変えた。西と東では時差があるだけでなく、気候や環境の違いがある。本大会でも勝ち進めば、このアメリカ遠征のような移動が考えられる。その貴重なシミュレーションになった。
10月の2連戦(パラグアイ戦、ブラジル戦)は、ブラジル戦が全てだった。前半は圧倒され0-2で折り返したが、開き直った後半、日本は11分間で3点を決めて逆転勝ち。サッカー王国から歴史的な初勝利を収めた。
11月の対戦相手(ガーナ、ボリビア)は残念ながら、強化に繋がるようなレベルではなかった。結局、秋の6試合で歯ごたえのある相手はブラジルぐらいで、本大会に向けての強化という点ではもの足りなかった。
それでもこの3試合での収穫はあった。ケガ人が続出したDF陣に、鈴木淳之介(コペンハーゲン)、渡辺剛(フェイエノールト)の2人を使えるメドが立った。さらにボランチには佐野海舟(1.FSVマインツ05)が、先発候補として名乗りを挙げたことが大きい。
また、ケガで代表から遠ざかっていた選手が復活。DF伊藤洋輝(バイエルン・ミュンヘン)が12月14日のリーグ戦で9カ月ぶりに先発出場して、60分間プレーした。DF高井幸大(トッテナム・ホットスパー)もU-21のチームで実践復帰を果たし、あとはプレミアリーグデビューを待つばかりだ。
そんな中での一番のニュースは、大きなケガを繰り返し、アーセナルを今夏に退団したDF冨安健洋が12月16日、オランダの名門アヤックスと電撃契約を結んだこと。昨年10月を最後に実践から遠ざかっていたが、本人は来年1月の復帰を目指している。
こうして1年を振り返ると、決して悪い年ではなかったが、マッチメークの難しさは相変わらずだ。日本代表はアジアの国と戦えば、ゲームを支配できる。それがワールドカップになると逆に支配され、守ってカウンターに変わる。だからこそ本大会までに、世界の強豪と対戦しておく必要があるのだ。
来年3月31日(日本時間4月1日)にはロンドンのウェンブリー・スタジアムで、イングランド代表との対戦が決まっている。これは本大会に向けての重要な強化試合になる。どれだけのケガ人が復帰して、どういうメンバーで戦うのか。じっくり見届けたい。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップ・アジア予選、アジアカップなど、数多くの大会を取材してきた。

