MotoGPでホンダはこの数年間苦戦が続いてきたが、2025年シーズンはかなりの改善を示した。テストライダーのアレイシ・エスパルガロは、エンジンのアップデートがその決定的な要因だったと考えている。
ホンダは2025年もMotoGPが規定する優遇措置制度のもと、通常は凍結されているエンジンのシーズン中のアップデートなどが許された状態でシーズンをスタートさせた。
前半戦では雨のフランスGPで優勝があったが、それを別としてもホンダの改善傾向は明らかだった。後半戦は特にそれが顕著で、日本GPとマレーシアGPではドライコンディションで表彰台を獲得している。獲得ポイントの面でも2024年の75ポイントから、285ポイントに4倍近くまで増加と、ホンダの改善ぶりは一目瞭然だ。
これには、パワー不足が指摘されていたエンジンをアップデートすることができた点も、大いに関係しているのだとエスパルガロは言う。エスパルガロは、エンジンのアップデートがなければ、トップ10入りも難しかったと考えているようだ。
「投入した膨大な量のパーツや、テストで何百周ものラップを走ったこと、そしてこの6ヵ月間でバイクがどれだけ変わったか……本当に素晴らしい」
エスパルガロは2025年シーズンの開発を振り返ってそう語った。
「テストチームがなかったら状況は違っていただろうね。誤解しないでほしいのは、これが僕のおかげだとかいうことじゃない。でも、テストする機会は本当に、本当に多かった。ホンダはジョアン(ミル)とルカ(マリーニ)に対して、多くのモノを用意してくれたと思う」
「例えば、今年はシーズン中にエンジンを3回アップデートしたけど、今のエンジンは凄く速い。ドゥカティにはエンジンをアップデートするチャンスはなかったけど、もし2025年の開幕仕様のエンジンで戦っていたら、トップ10にも入っていなかったかもしれないんだ」
なお日本、オーストラリアで表彰台を獲得したミルは、エンジンの改善は一因でありつつも、ホンダは全体的にマシンを改善できていると語った。
「僕にとっては、ひとつの要素じゃないんだ」
ホンダがMotoGPマシンのどこを最も改善したのかと問われると、ミルはそう答えた。
「以前の状況では、何かひとつの問題という話ではなかったんだ。空力を改善し、エンジンを改善し、グリップそして電子制御を改善し、何が起きているのかをもう少し理解する必要があった」
「とはいっても、エンジンの出力特性やそのキャラクターは、他のホンダ勢と比べて違いを生み出していく上で、僕としてはかなり上手く機能してくれたよ。僕はスロットルコントロールに対してより敏感なんだ。彼ら(他のホンダライダー)は、感触が少なくてもこうした部分をうまく扱えるのだろうが、僕はより苦労してしまう」
「それから、フロントエンドのフィーリングに関しても、ブレーキング時の安定性が良くなった。最高というわけじゃないけど、今は良いレベルにあるよ」
なおホンダは改善の結果、2026年シーズンに向けて優遇措置制度の区分けが変更。KTM、アプリリアと同じシーズン中のエンジンのアップデートが許されないグループCとなることが決まった。

