企業や地域と一緒に形にした、産学連携のかたち

今回のトラックラッピングプロジェクトは、学生だけで完結したものではありません。
運送業を担う企業や、地域に根ざした金融機関が関わることで、学内の取り組みが社会へと広がっていきました。
運送事業を行う株式会社ケーロッドは、学生たちの発想や問いかけを受け止めながら、プロジェクト全体を支えてきました。
学生が社会課題と向き合い、自分たちの言葉や表現でメッセージを形にしていく過程そのものに価値があるという考えのもと、企画段階から完成までを共に歩んできたといいます。
一方で、地域金融機関である飯能信用金庫も、産学連携の取り組みとして本プロジェクトを後押ししました。
地元企業と大学、そして学生が手を取り合うことで、地域の中に新しい動きが生まれる。
その可能性に共感し、助言や支援を行ってきた点が特徴です。
それぞれの立場や役割は異なりますが、「学生の挑戦を社会とつなげたい」という想いは共通しています。
学生の柔軟な発想に、企業の実務的な視点や地域の知見が加わることで、プロジェクトは現実味を帯び、実際に走るトラックという形に結実しました。
このような関わり方は、単なる協力関係にとどまりません。
学生にとっては、社会の中で多様な立場の人と協働する経験となり、企業や地域にとっては、次世代の視点に触れる機会となります。
今回のプロジェクトは、そうした相互作用が生まれた一例といえるでしょう。
学びが社会とつながるということ

今回のトラックラッピングプロジェクトは、授業やゼミ活動の延長線上で生まれた実践的な取り組みでもあります。
西武文理大学では、学生が社会や地域と関わりながら学ぶ機会を重視しており、教室の中だけで完結しない学びが数多く用意されています。
サービス経営学部では、企画を立てる力や伝える力だけでなく、人と人、組織と地域をつなぐ視点を養うことが大切にされています。
今回のプロジェクトでも、学生たちは「どうすれば想いが伝わるのか」「社会にとって意味のある形とは何か」を考え続けてきました。
トラックラッピングという手法は、決して特別な専門知識だけで成り立つものではありません。
だからこそ、学生一人ひとりの視点や感じた違和感、素朴な疑問が出発点となり、それが企業や地域との対話を通じて形になっていきました。
こうしたプロセスを通して、学生は社会との距離を縮め、自分たちの学びが現実の中でどう生かされるのかを実感していきます。
完成したトラックは、その成果を象徴する存在であると同時に、学びが社会へとつながっていく過程そのものを示しているともいえるでしょう。
大学での学びが、地域や企業と交わることで生まれる価値。
今回のプロジェクトは、その可能性を具体的な形で示した取り組みの一つとして位置づけられます。
