いじめを経験して気付いた「自分がやりたいことをやろう」
事業を続けるうちに、細井さんは思わぬ壁にぶつかることになります。活動の様子が次第にメディアに取り上げられるようになると、教室の空気が変わり始めたのです。
細井さんの出演動画を教室で勝手に再生し始めるクラスメイト。「すごいね」と応援してくれるのかと思いきや、実際は「キモい」と嘲笑するためでした。動画はグループLINEで次々と共有され、悪口を言われる日々が続きます。小学6年生の冬、細井さんはしばらく学校に行けなくなりました。
「この活動をしていなければ、いじめられることもなかったのかな、と考えたこともあります」

そんな細井さんを救ったのは、小学6年生のときの担任の先生の言葉でした。
「自信を持って。あなたは素晴らしいことをしている。だから、いい言葉だけを聞けばいい。悪口なんて聞かなくていい」
「先生の言葉に涙があふれました」と細井さんは当時を振り返ります。この経験を経て、細井さんはある答えにたどり着きました。
「私は自分の活動に、もっと自信を持つべきだと思いました。他人の目ばかり気にしていると自分にフォーカスできない。だから、心ない批判よりも自分が本当にやりたいことに集中しようと決めたんです」

細井さんの今後の目標は、世界に向けて活動を広げ、ゴミを減らすことです。
「日本でゴミ拾いをしていると、好奇の目で見られることもありました。でも短期留学中に外国でゴミ拾いイベントを開催をしたとき、逆に『素晴らしいね』と褒めてくれる人が多くて、すごくうれしかったんです。そんなふうに関心を持ってくれた人たちに恩返しがしたい。そして自分自身も、もっと前進していきたいと思っています」
「周りの目が気になってしまう」あなたへ
学資保険を解約して起業し、中学生としての学業と事業の両立に励む細井さん。そんな彼女にとって、「はたらく」とはどういうことなのでしょうか。
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「“新しい自分に出会うこと”だと思います。はたらいていると、自分が思っている以上に本気になれたり、夢中になれたりする瞬間がある。私も、この活動を始めるまでは平凡で単純な人生を送っていたけれど、仕事を通じて新しい感情や喜び、本気になれる瞬間に出会えました」
最後に、「やりたいことはあるけれど一歩を踏み出せない」「周りの目が気になって動けない」といったモヤモヤを抱える若者に向けて、細井さんからメッセージをいただきました。
「事情があってすぐに動けない人は、まず自分を認めることから始めればいいと思います。私みたいにズバズバ突き進むのは難しいし、全員ができるわけじゃない。でも『失敗してもそこから学べた』『ここまで頑張った自分は偉い』と、自分がやってきたことに目を向ける。それだけでも次の行動が変わるはずです」

「私は誰に何を言われても、自分の気持ちに正直でいようと決めました。周りの人間関係や環境を理由に『できない』と言い訳をしない。本当にやりたいことがあるなら、他人の目は関係ありません。自分が本当の姿でいられる場所にいるべきです」
路上に捨てられたプラスチック片に、アート作品としての新たな輝きを与える細井さん。彼女のように視点を変えれば、私たちも自分らしくいられる瞬間に出会えるかもしれません。
(「スタジオパーソル」編集部/文:間宮まさかず 編集:いしかわゆき、おのまり)

