日本相撲協会が12月22日に発表した令和8年初場所(1月11日初日・両国国技館)の番付を見て、驚いた人は多いのではないか。元横綱・照ノ富士の伊勢ケ浜部屋に所属する力士の「四股名」の改名が著しいからだ。
「総勢9名というのは前代未聞の多さ。聞いたことも記憶もない」(古参の相撲担当記者)
そしてうち8名が、相撲協会を退職した白鵬氏が師匠だった旧宮城野部屋の力士である。
白鵬が他の部屋と争奪戦の末に獲得した逸材・伯桜鵬が伯乃富士、天照鵬が三重ノ富士に。それも全て、伊勢ケ浜部屋の力士が必ずつける「〇〇富士」という四股名になっている。
力士の四股名は番付の出世や関取になったことなどで改名することが多いが、今回は違う。「白鵬色」の一斉排除とみられるからだ。相撲協会は2024年4月、元前頭・北青鵬による暴力問題の処分に対し、旧宮城野部屋の閉鎖を通告した。
「これが相撲協会と白鵬に亀裂が入る決定打となりました。部屋再興に向けて動いた親方衆もいたのですが、白鵬は長引く閉鎖処分に耐え切れず、翌年6月に愛弟子を全て置いていく形で相撲協会を辞職しています」(前出・相撲担当記者)
相撲協会との対立で退職したひとりに、元横綱の貴乃花親方がいる。
「貴乃花部屋も消滅しましたが、元大関の貴景勝だけでなく、その力士が引退や廃業するまで『貴』のついた四股名はしっかり残された」(相撲協会関係者)
元貴乃花親方も白鵬氏も協会とぶつかった末の辞職だったが、
「明らかに白鵬に対する仕打ちの方が厳しい」(前出・相撲協会関係者)
ところで今回、改名しなかった力士がいる、元幕内・炎鵬だ。首のヘルニアなどの故障で7場所連続休場の末、序ノ口からの再起を目指して、来年には関取復帰するまでの番付まできた。部屋再興の道は完全に途絶えたわけではないが、
「前伊勢ケ浜親方の元横綱・旭富士が宮城野親方を襲名しています。定年再雇用で協会を辞めるまで、あと5年近くある。炎鵬は31歳。宮城野部屋を再興しようとしても、それ以降になるでしょう」(前出・相撲協会関係者)
「相撲協会VS白鵬」の緊張関係は、今も燻り続けているのだ。
(小田龍司)

