ふくらはぎのケガから復帰したかと思えば、足首の捻挫で再び戦線離脱と、不安定なシーズンを送っているメンフィス・グリズリーズのジャ・モラント。
一方で、コート外ではフランスのクラブ経営に参画するという新たなチャレンジにも乗り出している。
そのクラブとは、トップリーグに参戦するビッグクラブではなく、現在3部リーグに所属するセミプロのルヴァロワ・メトロポリタンズだ。
メトロポリタンズと言えば、ヴィクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)やビラル・クリバリー(ワシントン・ウィザーズ)がNBA入り前に所属していたメトロポリタンズ92を思い起こさせる。
しかし翌2024年、経済破綻によってクラブは消滅してしまう。
よって現在のルヴァロワ・メトロポリタンズは、メトロポリタンズ92と同じアリーナこそ使用しているが、地元の別のクラブをベースに、投資グループが立ち上げたまったく別法人のクラブとなっている。
モラントは昨年の夏、父親や親しい仲間たちとともにスポーツ、カルチャー、メディアをつなぐコンテンツ制作や、社会的インパクトのあるプロジェクトの支援を掲げた会社『Catch12』を立ち上げた。
そのプロジェクトの一環として、ルヴァロワ・メトロポリタンズのオーナーとなった『EuroStep Ventures(ユーロステップ・ベンチャーズ)』に投資する運びとなった。なお、金額は公表されていないが、ユーロステップ・ベンチャーズの共同創設者サム・カッツィン・シモン氏がフランスのレキップ紙に語ったところでは、「相当な額」とのこと。
遠い異国のセミプロクラブへの投資に踏み切った理由について、『Catch12』のCEOを務めるモラントの父親は、「これは単なるバスケットボールクラブへの投資ではない。人々、文化、そして未来の可能性への投資なのだ」とコメントしている。
カッツィン・シモン氏曰く、モラントは、メディア、スポーツ、そしてアメリカとヨーロッパの文化の間に橋を架けたいという思いを抱いているそうで、今回の経営参加は、「彼のそうした野望を、我々のプロジェクトにおいて具体化するもの」であると語っている。
もちろん、パリ郊外を拠点とするルヴァロワ・メトロポリタンズへの投資は、現在進行中のNBAヨーロッパ構想と無関係ではない。
12月22日、NBAはFIBA(国際バスケットボール連盟)との共同声明で、来年1月から、新リーグに参加を希望するチームやオーナーグループとの協議を開始することを発表。すでにフランスからは、パリとリヨンのクラブが参戦することが決定している。 現在パリには、ユーロリーグにも参戦するパリ・バスケットボールがあるが、サッカーの欧州チャンピオンであるパリ・サンジェルマンも関心を示している。彼らもジョーダンブランドとの契約、ケビン・デュラント(ヒューストン・ロケッツ)が少数株主になるなど、NBAとの結びつきを強めている。
しかし現状、バスケットボールクラブを持たないパリ・サンジェルマンがNBAヨーロッパに参戦するには、すでに存在しているクラブの経営権を買い取るプロセスが必要となる。
一方ルヴァロワ・メトロポリタンズもNBA側とすでにコンタクトし、参戦に興味があることを示している。現在3部リーグで首位に立っており、来季には2部昇格もあり得る。
2027-28シーズンを目指しているNBAヨーロッパ始動のタイミングで、最速でトップリーグに到達できるかがポイントになるが、「あらゆる可能性に対してオープン」というカッツィン・シモン氏の発言は、ルヴァロワ・メトロポリタンズがパリ・サンジェルマンのバスケ部門になる可能性も示唆しているように思える。
それと同時に、ルヴァロワ・メトロポリタンズとしてのNBAヨーロッパ参戦も、もちろん視野に入れていることだろう。
いずれにしても、NBAのヨーロッパ上陸を足がかりに、モラントはパリを起点にして欧州にカルチャー戦略を展開する気でいるようだ。
そんなモラントについてカッツィン・シモン氏は、「“現代版アレン・アイバーソン”と言えるカルチャー的な影響力を持つ」と評している。
確かに“悪童”のイメージや、ヒップホップカルチャーへの傾倒といった部分は共通しているモラントだが、アイバーソンほどのカリスマ性はまだなく、むしろヨーロッパでは、長期の謹慎処分になるようなトラブルメーカーの印象が強いかもしれない。
架け橋になるには、まずはプレーヤーとしての価値を高めることが重要だ。皮肉にも、11月にふくらはぎを痛めて欠場して以降の13試合で、グリズリーズは8勝5敗と勝ち越している。早くコートに復帰して、オールスター級のパフォーマンスを披露してもらいたい。
文●小川由紀子
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