フォード・レーシングは、2027年の世界耐久選手権(WEC)参戦を目指し、完全自社体制でハイパーカープログラムを運営すると発表した。
フォードはこれにより競争力を高めると共に、市販車への技術還元という点でもメリットがあると考えている。
WECにおいて、ハイパーカーメーカーがパートナーと協力することは珍しいことではない。例えばキャデラックのハイパーカープログラムを運営しているのはJOTAスポーツであるし、フェラーリはAFコルセ、ポルシェはペンスキー・モータースポーツを、BMWはチームWRTをパートナーとしている。
一方でトヨタ、プジョー、そして来季WECに加わる予定のジェネシスは自社でチームを運営している。
今年1月にLMDh車両で2027年からのWEC参戦を目指すと発表したフォードも、プロトン・コンペティションが現在WECでマスタングのLMGT3プロジェクトを運営していることから、同様の提携を検討しているように見えた。
フォード・レーシングのグローバルディレクターであるマーク・ラッシュブルックは、自社体制によって「トラック上での対応がより迅速になり、競争力を向上させることができる」と語る。
「さらに、これまで以上に効果的かつ効率的に技術を市販車へ還元することも可能になる」
フォード・レーシングは、オレカ製シャシーをベースにハイパーカーを完全に自社開発し、チーム運営も行なう。チームはプログラムマネージャーのダン・セイヤーズが率いる。
「しかしもちろん、課題がないわけではない」とラッシュブルックは認める。
「2年以内に我々のマシンがグリッドに並ぶため、プログラム構築のタイムラインが迫っている」
「2027年のWEC初戦までに、マシン本体だけでなくチームのあらゆる要素を構築しなければならない。あらゆる役職を埋める必要があり、これは決して簡単な任務ではない。なぜなら単なるポジションの補充ではなく、フォード・レーシングの特性——情熱的で最高を目指す姿勢——を反映したチーム文化を構築することだからだ」
ただしフォードは、シャシーパートナーであるオレカの支援を受け、モータースポーツコンサルティンググループであるベンチャー・エンジニアリングから技術的・運営面のサポートを受ける。
また、フォードはプロジェクトを率いる適任者を募集している。
「テストおよびレースプログラムの人材確保に向け、トップクラスの開発者やエンジニアと協議中だ」とラッシュブルックは語る。
「世界中から最高のエンジニアと経験豊富なレーシングのプロフェッショナルを集めている」
フォードは強いメッセージで今回の発表を締めくくった。
「アメリカのレースチームとして戦うことは光栄な使命だ。ぜひその一員となって欲しい。何しろ、”ブルーオーバル”(フォードのロゴ)を国際スポーツカーレースの頂点へ導くのにフォード・レーシング以上に適した存在はいないのだから」

