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「平成レトロ」に群がる大人たち「シール売り場」の怒号と略奪が映し出す「失われた自己肯定感」

「平成レトロ」に群がる大人たち「シール売り場」の怒号と略奪が映し出す「失われた自己肯定感」

 少し前から世間を白熱させている「平成レトロ」ブーム。今年の新語・流行語大賞には「平成女児」という言葉がノミネートされた。1990年代後半から2000年代初頭に小学生時代を過ごした女性が、当時親しんだシールや文房具、キャラクター文化を懐かしむ動きで、平成ならではのキッズカルチャーが再評価されている。
 本来はZ世代を主なターゲットにしたブームとされているが、実際に熱量を生み出している中心層は、むしろ平成初期をリアルタイムで過ごしたアラサー、アラフォー世代だ。その象徴が、立体型シール「ボンボンドロップシール(通称ボンドロ)」をめぐる過熱ぶりである。

 クリスマス商戦と重なる12月、シール売り場では開店前から大人が列を作り、品出し中の店員に群がる光景が日常化した。Threadsでは〈シール販売員です。マジで疲れました〉という投稿が拡散。怒鳴る、奪い取るといった行為への対処に疲弊し、退職する店員が出ているという。こうしたトラブルの中心にいるのは子供ではなく、その親世代の大人だ。

 彼らがここまで熱くなる理由は、単なるコレクション欲によるものではない。平成のシール文化は友達同士で見せ合い、レアな一枚を持っているだけで承認される世界だった。スマホもSNSもなく、将来に対する不安が今ほど重くなかった時代。その記憶がシール一枚をきっかけに、一気に甦る。そこにあるのは懐かしさというより、失われた自己肯定感を取り戻したい、という切実な欲求だ。

 その背景に見えるのは、日本社会が長年かけて作り上げてきた「大人になることが報われない構造」。責任が増え、余裕は削られ、努力すれば未来が開けるという物語は崩れた。そんな社会で精神的に成長し続けろと言われても、逃げ場は少ない。だったらせめて、心だけでも楽だった時代に戻りたい。その欲求こそが、平成レトロブームの正体だといえるのだ。

配信元: アサ芸プラス

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