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映画「名探偵コナン」はなぜ3年連続で興行収入100億円を突破したのか?  大衆心理が動かす“推し活”巨大市場の正体【推し活ビジネス2026最前線】

映画「名探偵コナン」はなぜ3年連続で興行収入100億円を突破したのか? 大衆心理が動かす“推し活”巨大市場の正体【推し活ビジネス2026最前線】

ファンの熱量が消費行動に結びついた

かつてアニメがオタクのものだった時代を象徴するようなエピソードがあった。2010年の「イナズマイレブン人気投票騒動」だ。

サッカーゲームの『イナズマイレブン』が映画化されるにあたり、キャラクター投票が行なわれることになった。その際、某掲示板サイトで五条勝というモブキャラを1位にしようという運動が始まった。

結果的に五条勝は2位と圧倒的な差をつけて1位になった。これは泡沫キャラを1位に押し上げて参加した人たち(仲間うち)で楽しむといういたずらであり、当時のオタク特有の陰湿さを帯びている。参加者の熱量が積極的な消費に向かわない点も、世間と距離をとるサブカルの世界観に閉じこもっているかのようだ。

しかし、今のアニメ映画は「安室透を100億の男に!」と呼びかけるように、ファンの熱量が消費を拡大する時代に移り変わったのだ。

推し活はアニメ以外にもアイドルやスポーツ選手、鉄道、マスコットキャラクターなど、さまざまな分野が対象となる。

しかし、サブカルチャーのコンテンツに強烈なファンが出現し、やがて大衆化するという流れの中で、大きな市場を形成するところに醍醐味がある。今はVTuberや歌い手が該当するだろう。

VTuber「にじさんじ」を統括するANYCOLORは、2025年4月期の売上高、営業利益ともに前期比1.3倍という成長を遂げている。今期も同1.2倍程度の増収を計画中だ。

「にじさんじ」の看板グループの「ROF-MAO」は、2025年7月にKアリーナ横浜でライブを開催した。歌い手の「Ado」は2度目のワールドツアーを2025年に成功させ、2026年7月には日産スタジアムでのライブが予定されている。アリーナのような会場であっても、顔出ししないライブというものが一般化した時代になった。VTuberや歌い手も大衆化へと近づいているようだ。

また、2025年はAIが急速に普及した年で、7月に誕生したXのAIである「Grok」に搭載された金髪美少女キャラクター「Ani」が大人気となった。アプリの動向などを調査するSensor Towerによると、「Grok」のダウンロード数成長量は、2位の「Gemini」を5倍近く引き離したという。「Ani」の有料プランは月30ドルで、およそ4500円。決して安いサービスではないが、利用者を伸ばした。

2026年からはAIキャラクターやAIアイドル、AIアーティストが推し活消費に一役買う可能性もある。

ファンへの配慮と収益力の向上を両立させるライブの生配信

企業も推し活消費の拡大を背景として、ファンを大切にするという志向性が強くなった。

2026年はアイドルグループ「嵐」のラストツアーが予定されているが、チケットの申し込みは2025年6月2日以前にファンクラブに入会していること、という条件がついている。昔からのファンに配慮したものだろう。

このツアーは生配信も予定されており、古参のファン以外は動画での視聴が中心となりそうだ。しかし、生配信は回線がパンクしない限り視聴者の取り込みは青天井であり、数千円のチケットでも十分な収益を確保できる潜在性がある。

つまり、チケット販売に条件をつけたことは、既存ファンを喜ばすだけでなく、収益面でも成功を収めるポテンシャルを持っている。

VTuberの「にじさんじ」は2025年にワールドツアーを実施したが、各公演のネットチケット販売が想定を上回る反響だったという。ANYCOLORの2025年8-10月のイベント事業の売上はおよそ5億円で、会社の上限予想の4億円を1億円以上も上振れた。

興行は人件費や資材費の高騰で採算が取りづらい状況だ。そうした中で、インターネットの視聴チケットは収益を押し上げる材料になる。

イベントの生中継を行なうライブビューイングという取り組みは20年以上前からあった。しかし、大衆に定着したのはコロナ禍を経て推し活の熱量が増したからこそのものだ。

推し活がビジネスの形を変え、新たな収益機会をもたらそうとしている。

取材・文/不破聡

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